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EVのリチウムイオン電池は「温度管理」が大切だった! 走行性能だけじゃなく充電性能に劣化度合いまで温度で大きく変わる!!

EVのリチウムイオン電池は「温度管理」が大切だった! 走行性能だけじゃなく充電性能に劣化度合いまで温度で大きく変わる!!

この記事をまとめると

■EVの駆動用リチウムイオンバッテリーは室温(10〜45℃)が適切といわれている

■冬になると気温が適正温度を下まわるが普通に走行していれば使用上での支障はない

■劣化を抑える観点から、EVの充電は200Vでの充電が基本だ

EVではバッテリーの温度管理は無視できない

 電気自動車(EV)に車載される駆動用リチウムイオンバッテリーは、室温で作動させるのが適切といわれる。室温というと抽象的だが、人が活動できる温度範囲という意味だ。数字で表せば、リチウムイオンバッテリーの場合、10~45℃くらい。気温45℃といえば、人が健康に活動できないほどの高温ではある。

 リチウムイオンバッテリーを使うパーソナルコンピューターの電池部分が温かく感じるのは、人の体温より高い温度で作動するためだ。

 冬にEVを走らせたり充電したりする際は、気温が零下になる場合もあるので、リチウムイオンバッテリー作動の適正温度を下まわることがある。ただし、ゆっくり走りだして一般道を走ったうえで、高速道路に乗るといった使い方であれば、バッテリーから放電されるときに内部抵抗によってやや温度が上がるので、使う上での支障はないと考えていいだろう。

 一方、冷えたまま急速充電をする際は、いきなり高電圧・大電流が流し込まれるので、バッテリーが受け入れにくくなり、電流を落としての充電にならざるを得ない。そこで、テスラなどは、プレコンディショニングといって、充電に適した温度設定になるよう、事前に車載バッテリーを適正温度にする制御を採り入れている。そのうえで急速充電を開始すれば、高電圧かつ大電流で、短時間にたっぷり充電できるというわけだ。

 テスラの急速充電器であるスーパーチャージャーの性能が高い理由は、充電器だけでなく、EV側の緻密なバッテリー制御も貢献している。

 一方、プレコンディショニングによって高電圧・大電流での充電を繰り返すと、バッテリー劣化を早める可能性が出てくる。

 リチウムイオンバッテリーは、100%の満充電をするより、80%程度に充電量を抑えたほうが長もちする。この点は携帯電話なども同様だ。しかし、充電の際の温度が高いほど、逆に劣化を早める実験結果もあり、新品の当初は温度高めで充電すると効率がよいのは事実だが、使用期間が長くなってくると、低めの温度で充電しているより早く劣化がはじまるとされる。

 したがって、日産自動車のEV開発担当者によれば、たとえ100%充電を繰り返しても、200Vでの普通充電であれば、それほど劣化の心配をしなくていいのではないかと話すのである。

 このことからも、EVの充電の基本は200Vでの基礎充電(自宅や事業所などでの基本的な充電)や、目的地充電(長時間滞在する移動先での充電)とされる意味が明確になる。急速充電はCHAdeMOの姉川尚史会長がかつて例えたように、「公衆トイレ」のように万一の折の臨時策と認識するのが正しい。

 走行速度域が高く、公共交通機関が必ずしも十分ではない欧州では、急速充電性能の高さを売りにする傾向が強まっている。だが、それはリチウムイオンバッテリーの劣化を早める要因のひとつとなり、資源の有効活用を含めた広い意味での環境対応では、廃棄物を増やすことにつながりかねない取り組みといえる。

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