パクリ芸はいまだ健在!
このような「何かに似ている」といったモデルをオートショーに展示するのは中国国内だけかと思いきや、今回のバンコクモーターショー会場内でも見かけることができた。
まず「これはなかなかだな」と思ったのが、GWM(長城汽車)の「タンク500」というフルサイズSUV。エクステリアがどこかのクルマに似ているということはないのだが、そのボディカラーのコーディネートが「メルセデス・マイバッハGLS」のイメージカラーと色調が同じなのである。
しかも、このモデルは正式開幕前日の「VIPデー(特別招待日)」にはなく、メディア招待日となる正式開幕日から展示されるようになっていた。どのようなメッセージがあるのかはわからないが、マイバッハをリスペクトしてこのモデルを開発したのかもしれない。
あとは、やはりGWM(歴史的にパクりモデルが過去に多かった)となるのだが、BEVの「ORA 07」は、2023年12月に開催された「バンコクモーターエキスポ」でデビューしたのだが、「小さいポルシェ・パナメーラ」といったオーラを出しながら展示されていた。
極めつけは、二輪車メーカーブースの集まるところにブースを構えていた「HONRI自動車グループ(鴻日汽車集団)」傘下の「VIAオート(未奥汽車)BOMA」。画像を見てもらえれば、なんの説明もいらないほど「トヨタ・アルファード」そっくりとなっている。
ボディサイズがかなり異なるので「完コピ」とはいえないが、中国コピー車の真骨頂ともいえるモデルがいまだ健在していた。ちなみにBOMAはBEVとなっている。
このHONRIグループには、HOXIDオート(鴻喜達汽車)というメーカーもあり、こちらは三輪車をラインアップしている。筆者が2000年代後半に中国へ行くようになった当時は、すでに「農村の移動手段」のような存在になっていた三輪車だが、報道によると、この三輪車もICE(内燃機関)から電動になると都市でも再起したとのことである。
筆者が遼寧省の郊外を訪れたときには、タクシーとしてよく使われていたことを記憶している。当時の三輪車はまさにコピー車のオンパレード。ベースは三輪オートバイとなっているようだが、これにボディをかぶせるので、このかぶせるボディがプジョーなど、どこかで見たようなものばかりであったのも記憶に鮮明に残っている。
「そっくり=コピー車」は、社会もある程度成熟したタイで積極的に受け入れられることはないだろう(そもそも堂々と販売するのは難しいだろう)。ただ、前述したタンク500のような、「ボディカラー」に限定した「パクり」ならば、気分だけマイバッハを味わいたいという人には選ばれるかもしれない。