名誉挽回! 再び輝きを取り戻した2010年代!
第4世代:W212(2009〜2016)
ここまで迷走というか売り上げ不振にまで陥ってしまったEクラスですが(そのぶん、Cクラスが売れまくっていました)、W212ではプチ起死回生となりました。立役者はなんといってもハイブリッドモデルの投入で、ガソリン車のE400ハイブリッド、ディーゼルのE300 BlueTECハイブリッド(日本未導入)といった省エネ車が売り上げを牽引。Eクラスらしい実用性、タフネス、そして安全性が戻ってきたとマーケットも好感触を抱いた模様。
また、W210から途切れていたクーペとカブリオレもEクラスとして久しぶりに復活したこともトピックのひとつ。ですが、シャシーはCクラス(W204)を使用しているので、それをEにするとはいささか厚かましいのではないでしょうか。
いずれにしろ、コストダウンや先行技術での失敗を繰り返すことなく、真っ当な進化を遂げたという意味ではW212はなかなかの重要モデル。初代Eクラスに迫る存在感といっても差し支えないでしょう。
第5世代:W213(2016〜2023)
この世代から、EクラスであってEクラスではない印象をもたれる方が少なくないようです。なんとなればシャシーは同社の汎用マルチプラットフォーム「MRA」を採用し、軽量化や剛性アップといったメリットはともかく、Eだけのものというエクスクルーシブ性の薄まりはいかんともしがたいかと。
それでも、同社が長年研究してきたエアサス「AIR BODY CONTROL」をはじめ、車間距離をキープし車線維持もサポートする「ディストロニック&ステアリングパイロット」や、約60km/hまでの衝突を回避するシステムなど、サポートデバイスの充実には誰もが目をみはったはず。
さらに、インフォテイメントシステムはSクラスよりも拡張されており、12.3インチのコクピットディスプレイなども時代を先取り。まさに、メルセデス・ベンツ日本のキャッチコピー「未来型Eクラス」そのもの。
初代の上陸から30年を経て、すごい進化を遂げたものだと、感慨にふけったのは決して筆者だけではないでしょう。
第6世代:W214(2023〜)
未来型を色濃く踏襲した現行モデル、W214はもはや電気自動車といっても過言ではありません。なにしろ、トップモデルのE350eは2リッターのガソリンエンジンを搭載するハイブリッドながら、バッテリーの航続距離は112kmと、都心部に住んでいたらエンジンがかかるチャンスはほとんどないとまでいわれます。どことなくEQシリーズに似たフロントマスクも、メルセデス・ベンツは意識してのことかもしれませんね。
また、MBUXと呼ばれるIT技術を駆使した電子技術の進化も著しいもの。助手席一体型のスーパースクリーンだけでなく、立体メガネだとか使わずともメーターが3D表示されるなど、いやはや電気の実力って素晴らしい!
さらに、呼びかけに応えてくれるメルセデス・ミーの機能充実に加え、ダッシュボードに備えられたインカメラによって車内からZOOM会議にだって参加できちゃうのですから、走る快適オフィスと呼んでもおかしくありません。
それでいて、Sクラスよりも価格は抑えられ、取りまわしも手ごろなサイズだったり、Eクラスの定石はきちんと守っているあたり、メルセデス・ベンツ日本がいうとおり「Eを覆す、E」クラスとなっていること疑うべくもないでしょう。