見る角度で色が変わるマジョーラカラーの設定があった初代bB
続いては、純正なのに初めからカスタムしたような外観と、オープンデッキなど個性的なモデルも用意していたことで、若い世代から支持を得た初代トヨタbB。ボディカラーにもびっくりするド派手カラーが用意されていたのです。それが、見る角度や光の当たり方によって、「いったい何色なの?」とハッキリしないのに、ものすごくインパクトのあるマジョーラカラー、「エメラルドスペクトラシャイン」です。
これは2000年に発売されたカラーで、グリーンやパープルなど玉虫のように多彩に変化する新世紀のマジョーラカラーとして、トヨタ初採用となっており、注目を集めました。ちなみにマジョーラとは、MAGIA(ラテン語で魔法)とAURORA(オーロラ)を融合させた造語で、日本ペイント(株)の塗料の商標名です。
次は、軽自動車でポップなカラーが豊富なイメージが強いのは、スズキ・ハスラーではないでしょうか。とくに初代には、かなりぶっ飛んだ純正カラーが用意されていました。それは、明るく楽しくカラフルに! というのがハスラーのキャッチコピーで、この豊富なカラーの恩恵もあって「遊べる軽」の元祖として定着したところも少なくないと思います。どれほどカラフルだったかというと、ホワイトルーフやブラックルーフなどの2トーンを含めると、なんと21タイプもの種類が登場したのです。
とくに珍しいのは、通常はあまりSUVには用意されることのないピンクが、「チアフルピンクメタリック」「キャンディピンクメタリック」と2タイプも登場したこと。人気色はフェニックスレッドパール/ブラック2トーンルーフだったそうですが、現行モデルではシックなボディカラーがメインとなっているだけに、目立つ色が欲しいなら初代が狙い目かもしれませんね。
さて、最後は高級車にこんな色を出すなんて! と当時は誰もがのけぞった、トヨタ・クラウン。2013年になんと、“ド”ピンクともいえる「ReBORN PINK」というボディカラーが設定されたのです。これまで、ベージュに近いような淡い桜色がかったパールカラーなどは見たことがありましたが、ローズ色の濃いピンクはあとにも先にもこのクラウンだけでしょう。
じつはこのとき、トヨタは社を挙げての改革を進めている最中で、実写版ドラえもんを使った「ReBORN」という広告キャンペーンを展開していました。そのなかでも、ピンク色の「どこでもドア」が印象的だったことから、そうしたイメージとつながっているのではないでしょうか。
このピンクのクラウンの売れ行きを誰もが見守っていたところでしたが、じつは意外な需要があった模様。うまい棒などを発売する製菓会社のリスカが、「しっとりイチゴ」というお菓子のPRに使用して話題となったり、夜の世界ではコンパニオンの送迎車として女性ウケがよいと評判になったことも。通称「ピンクラ」として一世を風靡したカラーとなりました。
というわけで、デザイナーや開発者、メーカーの想いが込められた個性派ボディカラー。今後はどんな色が登場するのか楽しみです。