独創的なデザインセンスで名を馳せた
コンセプトカーでも実用性をアピール
さて、ガンディーニはコンセプトカーでも独創的な作品を残しましたが、実用車としてはBMWのガルミッシュに注目したいところです。
1970年に1台のみ製作された同車ですが、2019年には50周年を記念して復刻プロジェクトが行われて話題になりました。端正でありつつエレガントで、しかもビッグキャビンが居住性のよさをアピールした名作です。
ベルトーネが関与したといわれる初代5シリーズに強い影響を与えていると思えますし、最近になってBMWが発表したコンセプトカー「ノイエ・クラッセ」の原型にも見える点が面白いところです。
コンセプトカーで見せた1990年代のスタイリング
最後もコンセプトカーから、日産のAP-Xを取り上げます。同車は1993年のフランクフルトショーにAQ-Xとともに出品。AQ-Xがビックキャビンの提案だった一方、AP-Xは流麗な2ドアクーペの提案でした。
ウエッジした基本姿勢と、斜めにカットされたリヤホイールアーチがガンディーニを思わせる点ですが、しかし曲面のボディワークは明らかに1990年代の仕上がりで、近未来感すら醸し出したもの。
ギュッと凝縮したフロントフェイスや、ホイールアーチラインから連続するテールランプなど見所は満載で、当時の日産の勢いも感じられます。
さて、今回はガンディーニが手がけたなかでも比較的実用車に近いクルマをピックアップしてみました。冒頭のとおり、スーパーカーのデザイナーとして語られる氏ですが、優れたデザイナーはそうした車型や年代を問わず傑作を生み出すもの。やはり氏は天才であり、鬼才でもあったという証でしょう。