この記事をまとめると
◾️ピレリがポルシェ・タイカン専用タイヤP ZERO「R」「Trofeo RS」を発表
◾️タイカン専用タイヤは、重たく鋭い加速をもつEVにあわせて剛性を高め、コンパウンドに工夫を凝らしている
◾️「R」は日常使いからドライブまで、「Trofeo RS」はサーキット走行を主眼に置いている
タイカン ターボ GT専用タイヤがピレリから登場
イタリアを代表するタイヤメーカーで、主に高性能車のユーザーから高い評価を得ているご存じ「ピレリ」。このたび同社は、ポルシェが新たに発表したEVスポーツカー「タイカン」のハイパフォーマンスモデル「ターボGT」専用に開発した、P ZERO 「R」「Trofeo RS」の2種類のタイヤを発表した。
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これらは、どちらも既存のR、Trofeo RSに電気自動車用の改良「ELECTテクノロジー」を加えたもの。車重が重く、鋭い加速を持つ電気自動車でのスポーツ走行に耐えうるよう、主に剛性を高める改良が行われている。
具体的には、タイヤ内部でその骨格を形成する繊維やコードの層「カーカス」を2重にかさねることで、タイヤの剛性を高めた。これは先述の車重に加え、ダウンフォースによる過重や加速時にリヤタイヤにかかる重量を支えることを考えており、高速走行でも安定したドライブをもたらしてくれる。また、強い加速力への対応として、コンパウンドに特許技術「マルチコンパウンドトレッド」を採用している。こうしたテクノロジーの採用によって、ポルシェの要求するスペックを満たしているとのこと。
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今回発表されたうちのひとつ、「P ZERO R」は日常的なドライビングを主軸にスポーティなドライブも視野に入れて作られたタイヤとなっている。先述の技術などをふんだんに使用し、高いスポーツ性能を有しているのはもちろんのこと、トレッドパターンとコンパウンドに工夫を凝らすことで、転がり抵抗の低減や静粛性の高さにもこだわっている。
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もうひとつの「P ZERO Trofeo RS」は、ピレリの市販車向けタイヤでもっともスポーティなセミスリックモデル。今回、そこにタイカン用の改良を加え、リリースしたということだ。このタイヤはラリー用タイヤから派生したコンパウンドで作られている、というモータースポーツのバックグラウンドに裏付けされたモデル。
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ドライ路面での高いパフォーマンスはもちろんのこと、それが長期間にわたって続くことにもポイントだ。なお、実際にニュルブルクリンクでタイカン ターボ GTに装着し、時速300キロ以上のスピードでテスト走行を繰り返し、このクルマに最適化させている。
設定サイズは、どちらもタイカン ターボ GTにあわせた265/35ZR21と305/30ZR21のみとなっている。
強い負荷のかかる高性能EVの走りを支えるには、このような強力なタイヤが必要不可欠である。今後、高性能EV向けのタイヤが各社からもさらに出てくるのだろうか。非常に楽しみだ。