専用のチップを大手メーカーが開発 次世代アイサイトにおいて画像認識AIを利用するために、組み込み型システムチップとしてAMDのVersal™ AI Edge シリーズGen2を採用することが発表された。しかも、吊しのチップを利用するのではなく、ステレオカメラの画像処理を行う機能を持たせるなど、アイサイト向けに最適化した専用設計にするのだという。
AMDの製品群イメージ 画像はこちら
専用設計というとコスト高の要因になりそうに思えるが、実際はその逆でコストダウンが期待できるという。なぜならアイサイト用の設計とすることで、不要な機能を削除することができ、チップサイズをコンパクトにすることが可能になるからだ。
逆に、AMDの立場になって考えると、スバルというけっして規模の大きいわけではない自動車メーカー専用にAIチップを開発することは負担にもなりそうなものだが、同社のバイスプレジデントRamine Roane氏は「先進運転支援システム領域のリーダーとなるメーカーとの協業は重要、アイサイトというソリューションは業界のベンチマークであり、トップのプレーヤーであるため多くの学びを得ることができる」と、アイサイトに特化したチップを開発することのメリットを教えてくれた。
AMDのバイスプレジデントRamine Roane氏 画像はこちら
なお、同氏によると「Versal AI Edge Gen2は自動運転レベル3相当に対応」できるチップなのだという。スバル・アイサイトにおいては、条件を満たしたときにハンズオフ(手放し)運転を許容することはできるが、このチップの性能を引き出せばアイズオフを可能にする自動運転レベル3の実現も期待できる。
もっとも、高機能でも普及しなければ交通死亡事故ゼロというスバルの目標は達成できない。すべてのスバル車にAIを利用した次世代アイサイトを搭載することが重要だ。
次世代アイサイトは現実的なコストによって実現すべきという点はスバルも認めているところで、基本的には全ラインアップにおいて次世代アイサイトを搭載することを目指しているという。
スバル・レヴォーグ 画像はこちら
はたして、次世代アイサイトの登場がいつになるのか、現時点では明言されていないが、2030年に交通死亡事故ゼロを目指すということは、その数年前には次世代アイサイトをローンチする必要があるだろう。また、AIチップというのは日進月歩であり、鮮度の高いうちに量産モデルに載せる必要がある。
そう考えると、2025年末~2026年前半あたりに、次世代アイサイト装着モデルが登場すると予想することができそうだ。