この記事をまとめると
■ゴールデンウイーク明けには新車ディーラーで「夏商戦」が始まる
■物価上昇による賃上げも行なっているが新車購入意欲を刺激する効果は期待できない
■不正問題で大打撃を受けたダイハツが今期の夏商戦で復調できるのか注目が集まっている
今期の夏商戦は盛り上がりに欠けたまま終了する!?
本稿執筆時点では、メディアで「東京の桜の開花はいつになるのか」というのが話題となっている。ついこの前、年が明けたかと思っていたら、もう桜の季節、そしてそのあとには大型連休(ゴールデンウイーク)が待っている。今年は4月30日、5月1日、5月2日を有給休暇などで休みにすれば最大10連休となる。
新車ディーラーについては一般的に、4月27・28日と5月4・5日(あるいは6日まで)の週末は店を開けるところも多いので、4月29日から5月3日までの長期休業となるようだ。ただし、あくまで一般的であって5月4日~6日を休みにするなど、休む期間を変えているところもある。
ゴールデンウイークが開けると、事実上「夏商戦」がスタートする。本稿執筆時点では大手企業の組合提示額に対し満額、もしくはそれ以上の賃上げ回答が続出している。このまま世の中賃上げムードが進み、中小企業までその動きが波及すれば新車需要にも弾みがつくのではないかとも考えるが、世の中はそんなに甘くないようだ。
大手企業であっても賃上げ幅は4万円前後が一般的のように見える。賃上げだけ進めばいいのだが、依然として日用品の値上げは続いているし、ステルスも含めて増税も多発している。大手企業の賃上げ額すら、それらに消えてしまうのではないかともいわれている。
2023年9月、UAW(全米自動車労組)は約40%の賃上げを要求してストライキに突入した。そして、その結果として最終的に25%の賃上げを勝ち取ったとのこと。日本とは比較にならないほどの「ハイパーインフレ」が常態化しようとしているなかでの賃上げなので日本と単純比較できないが、アメリカではいままでも定期的に賃上げが進んでいたなかでの25%の賃上げである。
しかし、日本は30年間ほぼ横ばいが続いてきたなかで、大手企業すら数%の賃上げを行ったとしてメディアは大騒ぎしている。物価上昇のレベルが違うとしても、日本の賃上げの現状はいまの日本国内での物価上昇に対応しているとは必ずしもいえず、とてもではないが新車購入意欲を刺激する効果を期待することはできないだろう。
また、依然としてトヨタを中心に納期を読みにくい(時間がかかる)状況も続いており、「夏商戦」といったタイミングを意識した販売促進活動がやりにくいこともあり、年間でもっとも新車が売れる事業年度末決算セールも盛り上がりに欠けるなか終了している。
毎年4月は3月までの事業年度末決算セールの余波もあり、新車販売台数は8月とともに年間でも落ち込むのが一般的となっている。しかし、納期遅延の影響で、本来は3月までに新規登録して事業年度末決算セールの実績カウントにしたかった受注が4月にこぼれるといったこともあり、年間を通してみると台数自体は少なめな状況が続いている。それでもその落ち込み幅は以前よりは広くなっていないように見える。
平準化まではいかないが、増販期とそうではない月との販売台数差が多少なりとも納期遅延などの影響もあり是正されてきているという表現もできる。