この記事をまとめると
■レクサスLMはアジア地域の需要に応えるべく生まれた高級MPVだ
■新型にモデルチェンジしたレクサスLMが日本にも導入された
■レクサスLMの運転してみての印象、また後席に乗ってみた印象をお届けする
レクサス初の周波数感応バルブ付きAVSを採用
まるで、地上におりたファーストクラス。フルサイズのボディに両側スライドドアを備え、前2席と後2席が完全にパーティションで隔たれた室内空間と、大容量のラゲッジが確保されている。「素に戻れる移動空間」をコンセプトとするラグジュアリームーバーとして誕生した新型LMは、これまでにない贅沢な装備ときめ細やかな心遣いがいっぱいに詰め込まれた、レクサスのフラッグシップモデルだ。
日本で販売されるのは初となるが、初代は中国をはじめとするアジア地域でのショーファードリブンMPV需要に応え、2020年に登場。4座仕様と7座仕様を用意して、好評を博してきた。近年のラグジュアリーマーケットにおける価値観の変化、多様化を受け、プレミアムブランドとして長く歩んできたレクサスの知見を総動員させて全面刷新したという。
つまり、ショーファードリブンとしても使われるLMにおいて、Lexus Driving Signatureとは何か。その正解を手にするために取り組んだのは、まずクルマとしての素性をとことん磨き上げることだった。
高剛性化、軽量化、慣性質量の低減などを目指し、新設計のGA-Kプラットフォームを採用。スライドドアによって開口面積が広くなってしまうボディ骨格を強化するため、リヤ床下ブレースをはじめとする多くのブレースを追加し、骨格の接合部には数種の構造用接着剤を使用すること、またスライドドアにアルミ材を採用するなどの軽量化を果たしつつ、従来比で約1.5倍のボディねじり剛性を確保している。
そして、サスペンションにはレクサス初となる周波数感応バルブ付きAVSを採用。低周波から高周波まで幅広い領域で振動を軽減するとともに、シート開発にも注力した。乗員の身体の動きを細かく分析するモーションキャプチャーによるデータ解析と官能評価を繰り返し、頭部の揺れが疲労に大きく影響することに着目。座面の体圧分散や体幹の保持のため、身体を腰で支えるシート構造として骨盤を少し立て気味にすることで快適性の高いシートにしている。
フロントシートではクルマとの対話に集中できる環境を追求し、リヤシートでは2種類の衝撃吸収剤と柔らかな表皮を使用して、路面入力による揺れを抑えるためにクッションフレームとレッグフレームの間に防振ゴムを設定するという念の入れよう。これによって、どの速度域でも上質な乗り心地を叶えているのが新型LMだ。
さらに、Natural Quietをコンセプトとした新感覚の静粛性にも数々のこだわりが詰まっている。
まず、ノイズの周波数帯域と発生部位などを解析するために、発煙装置を使用したスモークテストとCADツールを組み合わせ、騒音の侵入経路を洗い出したというのがすごい。その上で、ボディシール構造の最適化を図るとともに、フロントウインドウやサイドガラスに高周波の風切り音を低減させるアコースティックガラスを採用し、ノイズを低減。そして、外部からの音を完全にシャットアウトするのではなく、音の適度な反射によって空間の広がりを感じさせる工夫を施した。
目指したのは「森でくつろぐような心地よさ」と「自然な静けさ」だという。