この記事をまとめると
■かつてSUVはRVと呼ばれており一世を風靡していた
■1990年代のRV車には昭和の香りが漂うなユニークな装備が数多く用意されていた
■いまでも一部装備がデジタル化されながら残っている
RVの黄金期はカスタマイズパーツがユニークだった
いまでは、かつてRV(Recreational Vehicle/レクリエーショナル・ヴィークル)と呼ばれていたSUV、クロスオーバーSUVは、その多くが超近代的で、装備も乗用車と変わらない豪華さ、便利さを誇っている。
たとえばトヨタ・ハリアーなど、乗り心地、快適さ、そして佇まい、装備までもがクロカンというより高級サルーンのクラウンに匹敵するほど。
レクサスのSUV、たとえばNXでは、ドアオープナー(ラッチ)の開閉機構を電気制御にしてスムースで滑らかな操作フィーリングをe-ラッチシステムで実現したほか、降車時にドアを開ける際、後方からの自転車、接近車両をブラインドスポットモニターのセンサーを活用して検知、注意を促す。それでもドアを開けようとした場合は、e-ラッチシステムと連携してドアの解放をキャンセルしてくれる機能を世界初採用するなどしてレクサスNXの先進性をアピールしていたのだ。
が、日本における第一次RVブームといっていい1990年代のRV車には、いまでは想像もつかない昭和の香りがプンプンする装備が付いていたのだ。
その筆頭がカンガルーバー(グリルバー)だろう。RVをよりワイルドなルックスにするために欠かせない装備としてRVファンのなかで人気沸騰。もともとは走行中にカンガルーなどの野生動物が飛び出してきたときに車体のダメージを軽減するために、野生動物の多いオーストラリアで開発されたアイテムで、R50日産テラノなどにも用意されていた。
だが、そんなシーンなどめったにない日本では、RVのドレスアップアイテムとして注目されたのである。ただし、対人事故での相手へのダメージの大きさから、日本では2000年代から自動車メーカーの自主規制によってほぼ消滅した装備となっている。
RV、SUVといえば、悪路をガンガン走れるクルマの代表格で、悪路が続く僻地でタイヤがパンクしたとき、すぐに交換できるようにスペアタイヤを背負い式にしていたRV、SUVも少なくなかった。いや、RV、SUVの象徴ともいえる装備だったのである。北米でSUVが女性に人気だったのも、背負いタイヤによるゴツさ、追突されたときのキャビンの被害軽減……といった頼りがい、安心感によるものだといわれてもいるほどだ。
が、これも洗練されたエクステリアデザインをもつアーバンSUVには不向きで、また、SUVの多くが乗用車感覚のキャラクターが与えられていることから、ディフェンダーなどの本格クロカン(といっても最新型はかなり洗練されているが)を除いて、とくに国産SUVでは過去の装備となり始めている。
加えて、SUVとて燃費も大切な時代だから、背負いのスペアタイヤと付随する取り付け部の重量増も、背負いタイヤが嫌われる要因となっている。そもそもSUVに電動車のEV、PHEV、HVが乱立している時代なのだから。