クルマを止めるにはかなりの距離が必要
一方、速度が高くなっていくと、ほぼ走行速度の数字にメートルを添えた距離が車間距離の目安となる。時速80kmのときは、76m。時速100kmでは、112mだ。
これらの数字の根拠は、制動距離にある。時速20kmで走っているとき、危険を察知し急ブレーキを踏んだ際、停止できるまでの距離が9mということだ。これは、危険を察知し、そこからブレーキ操作をはじめるまでの空走時間による走行距離と、ブレーキペダルを踏み込んで停止するまでの距離を足した数字だ。それが、時速100kmでは100m以上ということになる。
しかも、それらは、適切な判断や操作、またタイヤが本来の性能をいかんなく発揮した場合の舗装路での数字であり、危険の発見の遅れや、ペダル踏み替えの時間、タイヤの摩耗による性能低下などがあれば、停止できるまでの距離がさらに延びる可能性がある。ほかに、未舗装路や雨天、あるいは乗車人数や積載物の多少によっても、制動距離は変わるので、余裕を持った車間距離を保つことを薦める。
ことに高速走行では、はじめのうちは車間距離を保っていても、速度に慣れてくると無意識のうちに車間距離を縮めてしまっている場合がある。そこで、道路脇に0m確認基点を設け、そこから40mや50m、80mや100mという看板を設置することで、車間距離への意識を取り戻すきっかけになり、改めて車間距離を調整し直す機会が設けられているのである。