この記事をまとめると
■ハイブリッドやEVなどの電動車には「車両接近通報装置」の装着が義務づけられている
■装置の義務づけは国連のフォーラム会合で定められて日産リーフで初導入された
■導入前に行ったアンケート調査では装置が必要だと答えた割合が71.4%だった
静かすぎて存在が認識できないために装着が義務づけられた
現在では電気自動車やハイブリッド車などの電動車に装備が「義務」となっている車両接近通報装置。街なかで聞いていると確かに数年前よりもモーター音を発している車両が多くなった印象だ。歩行者として歩いているとき、この装備があることで車両の存在に気付けることが増えた印象だが、果たしてこれが「あってよかった」といったことは実際にあるのだろうか?
車両接近通報装置とは
改めて車両接近通報装置について簡単に紹介しよう。新型車には2018年から、継続車種には2020年から装備が義務化されている装置で、その対象は「電力により作動する原動機のみによる走行が可能な自動車」とされ、電気自動車はもちろんのことハイブリッド車なども含まれる。
これに関しては国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラムの会合で採択され、改訂されたのを受けて採用された規定だ。なお、ドライバーが任意で作動を停止させることが出来ないことも定められている。
この装置の導入が早かったのは日産の電気自動車リーフで、2010年のことであった。ハイブリッド技術をリードしてきたトヨタも2011年からハイブリッド車に装着している。
実際にこれが「あってよかった」という事例などが上がっているか? といった部分に関して、自動車メーカーなどから明確な回答はなかったが、いい返れば、車両詳細通報装置に対してユーザーから良し悪しの声が上がっていないというのはむしろ歓迎すべきことだろう。この装置はユーザーが有無の以前と以後を実感として比べることが難しい。だが、その存在があることでのマイナスの声が聞こえてこないということは、ユーザーがデメリットを感じていることはないことになる。
もちろん、採用される前にさまざまな研究や実験は行われている。そこでは必要という声が大半であった。少し古いデータではあるが、トヨタが発売前の2007年に行ったモニター試験では、71.4%が必要と答えた。いまでは義務となっていて多くの電動車に取り付けられているため、そのありがたみがわかりづらいのかもしれないが、この装置が登場する以前は、「より安全性を高めるアイテム」という実感が得られるものであったといえる。
騒音規制というのは年々厳しくなってきている。正直、個人的にはヨーロッパの規制などはやりすぎではないかと思う部分もあるが、クルマがどんどん静かになっているのは確かだ。しかし、静かすぎるのも安全性上問題がある。今後、電動車が増えていくことを考えると、最低騒音規制というものを定めてもよいのではないかと感じる。住宅街や駐車場など低速の走行シーンを考えると車両接近通報装置は必要なアイテムだ。