オークションに出た瞬間札束の殴り合い! 旧車乗りがつねに困窮している「交換パーツ」の実状 (2/2ページ)

貴重なパーツはあれもこれも札束の殴り合い!

モール類

 ガラスを交換するなら一緒にモール類も新品に……と思いきや、欠品&製造廃止というケースが多々あります。この部分が劣化していると他の部分がビシッとしていても古くさく見えてしまうものです。基本的にはそのモデルの専用部品なので流用は困難。

 ネットオークションで未使用品が出品されると、ここでも札束の殴り合い。再塗装するなり、そのまま目をつぶって流用するなど、目に付きやすいものでありながら、一定の妥協が求められる部品でもあります。

ダッシュボード

 高温多湿な室内かつ長期に渡り紫外線を浴びつづけるなど、常に過酷な環境におかれているダッシュボード。その結果、ビスで固定されている部分などからクラックが入り、振動とともにそのヒビが広がり……(涙)というケースが多々あります。しかし悲しいかな、たいていのダッシュボードは製造廃止となり、在庫もゼロに。そのため、ネットオークションでは常に争奪戦(ここでも札束の殴り合い)が繰り広げられている部品のひとつです。

 ときどき誤解されますが、多くの場合、ダッシュボードカバーはドレスアップアイテムとしてだけではなく、ダッシュボードの劣化を保護するためのものでもあるんです。

エンジンなどの共有部品

 輸出されたモデルや長期間に渡って生産されたモデルなど、生産台数や派生モデルが多い場合、エンジンやブレーキなどの共有部品が細々と生産されている例があります。

汎用部品

 多くのモデルで共通して使用している部品=汎用性が高い部品ほど手に入る確率が上がります。裏を返せば、専用部品が多いクルマほど製造廃止や欠品になっていることが多く、入手が極めて困難となります。

輸入車

 意外に思われるかもしれませんが、国産車よりも輸入車の方が比較的部品が手に入りやすい傾向にあります。それにはいくつかの理由がります。ひとつは「世界中でクルマや部品が流通している」ため。定期的に部品を再生産したり、メーカーやモデルによってはクラシック部門を立ち上げ、積極的にレストアを行っている例もあります。

 また、仮にメーカーが生産を打ち切っても、サードパーティー製にも目を向ければ手に入る確率がグッと上がります。そのほか、eBayを活用することで網を張っていれば見つかる確率が上がります。ただし、現在の円安では送料も含めると、輸入する際に割高になってしまうのが難点です。

まとめ:注文数がまとまった時点でメーカーがしれっと再生産することも

 確率としては決して高いとはいえませんが、ある時期までは欠品であっても、いつの間にか再生産されて「在庫あり」になっているケースがあります。いつ、どのタイミングで再生産されるのかは関係者以外が知るのは困難。あとは、いち早く「在庫あり」の情報を知り得るか。それには専門店との密接な付き合いや、同じクルマを所有する仲間との情報網が鍵となります。


松村 透 MATSUMURA TOHRU

エディター/ライター/ディレクター/プランナー

愛車
1970年式ポルシェ911S(通称プラレール号)/2016年式フォルクスワーゲン トゥーラン
趣味
公私ともにクルマ漬けです
好きな有名人
藤沢武生

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