超希少車! TZ3のスペックはいかに
そのTZの車名が久々に復活したのは2010年にイタリアで開催された、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステでのことだった。2010年はアルファロメオがレース参戦を始めて100周年にあたる年で、それを記念してワンオフで製作されたモデルが、最初の「TZ3」だった。
このTZ3は「TZ3 コルサ」と呼ばれ、ベルギーの小規模スーパースポーツメーカー、ジレ社が生産する「ヴェルディゴ」をベースとしたものだった。このヴェルディゴはオランダのドンカブートをベースに独自のボディをアルミニウム製デザインし、カーボンファイバー製フレームと420馬力を発揮する4.2リッターのV型8気筒エンジンを6速セミATとの組み合わせで搭載。ヴェルディゴの加速性能は0-100km/hで3.5秒を1994年に達成しているが、これは2005年にブガッティ・ヴェイロンが2.5秒を記録するまで破られることのない記録だった。
そして、ヴィラ・デステで発表されたTZ3は大きな話題となり、アルファロメオはそのロードバージョンの製作を決断。このモデルは「TZ3 ストラダーレ」と呼ばれ、そのデザインはザガートのチーフ・スタイリストに就任していた日本人の原田典彦氏が担当。ベースはなんとダッジ・バイパーACR-Xがチョイスされることになった。生産台数はわずかに9台。それはアルファロメオのロードカー誕生100周年を祝したモデルでもあった。
長いフロントノーズの中に収められるエンジンは、もちろん8.4リッターのV型10気筒OHV。最高出力と最大トルクはそれぞれ610馬力、760Nmというスペックとなり、これには6速のトレメトリックTR6060マニュアルトランスミッションが組み合わされている。駆動輪はもちろん後輪。イタリアン・スポーツならではの優美なエクステリアと、アメリカン・パワーユニットが生み出す豪快な加速感。TZ3はその両方をカスタマーに与えてくれるモデルなのだ。
インテリアデザインは基本的にバイパーのそれに等しいが、エンブレム類はアルファロメオのものが使用される。
この生産型のTZ3は、2012年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで一般公開され、ジェイソン・バトンによるデモンストレーション走行も行われた。
すでにこの段階で9台のTZ3には、そのオーナーが決定していたことは間違いないが、そのコンセプトは2023年発表の2代目「33ストラダーレ」などにも受け継がれている。ちなみにこちらの製作は、カロッツェリア・トゥーリング・スーパーレッジェーラによって行われる。