使い古しのTシャツ……とかじゃダメ? 洗車時に使う「クロス」は「モノ」と「部位ごとの使いわけ」がめちゃくちゃ重要だった (2/2ページ)

洗車マニアなら5・6枚のクロスを使いわけるのは当たり前

 が、筆者が使う吸水クロスはそれだけではない。ここからはかなりマニアックな世界に突入するので、洗車に相当なこだわりがある人以外はスルーしてけっこうだ。

 筆者が昭和50年代から使い続けている吸水クロスは、超ロングセラーのオランダ製「ユニセーム」=めったにないパンチング加工のPVAセーム(残念ながらコロナ禍で生産中止。いまではプレミア価格になってしまった!)で、それを5枚使いわけている。

 まず、クルマを新しくした際に新調する①ウインドウ用だ。ウインドウの水気の拭き上げは、とくに油分の付着が心配なため(ギラギラ視界の油膜を誘発する)、もう何十年もボディ用などとは別のクロスを使っている。

 そして、汚れのひどい②下まわり用、③タイヤ&ホイール用、さらに④戸当たり用(ドアやテールゲートの断面、ステップなど)、 ⑤エンジンルーム用を用意し、ボディ用を含めた計6枚となる。なお、下まわり、タイヤ&ホイール、戸当たり、エンジンルーム用(あくまで洗車時の吸水。油汚れがある場合は使い捨てのワイプクロス=コストコで売っているスコットのカーショップタオルなどを使用)は、以前の愛車で使っていたボディ、ウインドウ用などの使い古しを捨てずに、洗って次期愛車用に使うようにしている(ユニセームは20年使っても使い続けられる逸品)。

 さらに、使い間違えないように、ケースに使用部位のマーキングを施してある。ちなみにユニセームの発売元は、古くは三菱鉛筆で、最近まではユニ工業。筆者は1980~90年代に買って保管してあるやや薄手の三菱鉛筆時代のものがお気に入りである。

 クルマの部位ごとに吸水クロスを使いわけている理由は、ホイールを拭き上げたクロスでボディを拭き上げることになれば、クロスに残った鉄粉などの粒子がボディをキズつけてしまうし、下まわり用のクロスでウインドウを拭けば、洗車後、下まわりに微細に残った油分汚れで油膜を移しかねないからである。

 もっとも、そこまで洗車クロスを用意するのは面倒、そこまでこだわらない……であっても、愛車のピカピカボディを長持ちさせるためには、せめてボディ用、ウインドウ用、タイヤ&ホイール用の3枚をぜひとも用意して使いわけてほしい。

 現在、筆者推奨のユニセームが手に入らないため、たとえば上記の「コーティング専門店の拭き上げ用クロス(2枚入り色違い)」と入手容易なもう1枚の3枚の組み合わせはどうだろう。合成セーム革の場合はケース入りだとカチカチになる乾燥を多少、防げる。

 最後に、洗車で使うそれぞれのクロスのメリット、デメリットを紹介しよう。

マイクロファイバークロス

メリット:高品質なものであれば吸水力に優れ、乾いても硬くならず、すぐ使える。色違いで揃えれば、部位別に使い分けやすい。

デメリット:吸水力、保水力の点で洗車用に向かない低品質なものもある。洗車用に向く高品質なものだと1枚1000円ぐらいする。保管に便利なケース入りがまず見つからない。

合成セーム革

メリット:高品質なものであれば吸水性に優れ、ボディにペタンと乗せて手前に引っ張って吸水するテクニックを実践しやすい。ケース入りのものであれば、軽く絞ったままケースに保管すれば硬くなりにくい。比較的長持ちする。

デメリット:商品によって吸水力、保水力の差がある。40年以上の経験上、ベストなユニセームが生産中止になり、とんでもない価格で取引されているのは残念(かつては1000円前後の価格。プレミアム価格で買う必要なし)。

一般的なタオル

メリット:家のなかにきっとあるはずで、入手しやすく、買っても安い。

デメリット:吸水力、保水力はマイクロファイバークロスや合成セーム革に到底敵わず、タオルの毛羽がボディやウインドウに残りやすい。品質表示ラベルを取らないとキズ付きの原因となる。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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