阿佐海岸鉄道がDMVの営業運行を開始!
現代のDMVの本格営業を実現させたのは、徳島県にある第3セクター・阿佐海岸鉄道だ。同社は国鉄の未成線(阿佐線の一部)を引き継ぎ、阿佐東線として建設・営業を行ってきた。しかし、沿線人口の少なさから開業以来収支が思わしくなかったので、ランニングコスト削減/観光振興&地域活性による鉄道事業のてこ入れを図ろうとして、世界で初めてDMVの本格的な営業開始に踏み切ったのである。
阿佐東線の終・起点駅にモードインターチェンジ(車両の軌道モード/道路モードの切り替える設備)を設置し、トヨタ・コースターベースの「DMV93形気動車」を3両導入。この車両の軌道における駆動方式は、後輪タイヤ(駆動輪)が線路に接して駆動力を得るという、ユニークな方式を採用している。当初の目論見どおりに耳目を集め、地域の新たな観光資源になっているという。
ただ、DMVには課題が多いのも事実だ。確かに、鉄道車両に比べると車両や運用に関するコストは下げることが可能だ。
しかし、
・運用にあたっては、新たな専用設備が必要であること(モードチェンジ設備など)
・運転手に高いスキルが求められること(大型自動車2種免許と動力車操縦者免許のいずれもが必要)
といった課題を抱えている。阿佐海岸鉄道の場合は比較的導入条件が整っていたようだが、他のローカル線などでは解決しなければならないことが多く、導入へのハードルが低くはないのが実情だ。
とはいえ、多様性が尊重される社会にふさわしい、「乗って楽しい・見て楽しい未来の乗り物」であることは間違いない。DMVへの今後の発展には、大きな期待が集まっている。