EV市場ではアップルが考える収益性を生まない
一方、アメリカメディアが2010年代半ば頃から、「プロジェクトタイタン」という極秘プロジェクトがアップル社内で形成され、自動運転技術とEV技術の研究開発を行っていると報じるようになる。また、プロジェクトタイタンによる量産化については、製造で台湾企業の名前が何度が報道されるも、台湾企業側のそうした報道内容を否定した。
こうしたアップルによるEV関連の動きがあるころ、世界でEVへの関心が高まり、欧州、アメリカ、中国などでEVシフトを後押しする政策が推進され、その結果としてEVや自動運転の領域に大量の投資マネーが注ぎ込まれた。そうしたEVバブルとも呼べる状況が、2022年から2023年にかけて急速に弱まり、「EVは踊り場」になるともいわれるようになった。
そんなタイミングで、アップルがEV参入を諦めた、という報道が流れたのだ。
以上のようなこれまでの流れを振り返ってみると、アップルとしてはEVや自動運転に対する技術領域では、量産に向けた準備は整ってきていたが、事業としての「出口戦略」を見出すことができなかったのではないだろうか。
EVを、iPhone、iPad、Macのようなハードウエアを企画して販売するのか? それとも、電力や通信の料金を加えてEVのサブスクリプションモデルを独自に展開するのか? それとも、ロボタクシー事業に特化してモビリティ関連のデータプラットフォームで世界標準化を目指すのか? さまざまな可能性があったに違いないが、アップルが考える収益性を生まないという経営判断が下ったのではないだろうか?
もしかすると……、何かのタイミングで、アップルEV量産が再び持ち上がるのかもしれない。