この記事をまとめると
■自民党は自動車運送業を含む4つの分野を新たに特定技能制度の対象として了承した
■今後は外国人もタクシー運転士になることができる
■インバウンドにとっては外国人運転士が増えることは喜ばしいことかもしれない
外国人のタクシー運転士が増える
報道によると自民党(自由民主党)は、外国人労働者の受け皿となる「特定技能制度」について、自動車運送業や鉄道、林業そして木材産業の4つの分野を新たに対象とする政府案を了承したとのこと。
バスやタクシー、トラック輸送業界では慢性的な運転士不足が続いているが、これに「2024年問題」がさらに拍車をかけるのではないかといわれている。別に外国人労働者を長時間働かせようというものでもないが、時間外労働が厳しく規制されるわけだから働き手を増やさないと現状維持すらままならないのが実状。そこで公共輸送機関の現状維持などの観点から外国人労働者に門戸を開放するといった流れのようである。
タクシー運転士に限っていえば、先進諸国ではすでに「移民の多い仕事」となって久しい。タクシーやバスといった公共輸送機関の最大にして唯一のサービスは、「安心・安全に利用客を目的地まで送り届ける」こととなる。そのようなこともあり、制服を着て言葉使いにも気を配る丁寧な接客を心がけるといった日本のタクシーやバス運転士の姿は、一部新興国で採用しているところもあるものの、世界的には極めて稀となっているものといっていいだろう。
つまり、移民したばかりで移民先の公用語が満足に話せない状況でも就きやすい仕事であり、しかもタクシーは歩合給なので収入も期待できることが大きいようである。ドイツではもちろんドイツ人運転士もいるが、トルコ人を中心とした移民の運転士が多い。アメリカでは地域によってバラつきがあるようで、筆者の経験した限りでは、ニューヨークでは一般的にはインドなど南アジア系の運転士が多いようだ。
筆者は以前、ニューヨークでパキスタン系の運転士のタクシーに乗ったことがある。日本人であると伝えると、かつて日本で中古車ビジネスをしていて日本語が話せる運転士がいると、わざわざ車内からその友だちに電話して「ほら、日本語で話して盛り上がれ」といってきた。
この日本語の話せる運転士の友だちと話が盛り上がり、後日ジョンFケネディ空港まで行くときの予約をして電話を終えた。