この記事をまとめると
■歩道に設置されたガードレールは「車両用」と「歩行者、自転車用」に分かれている
■ガードレールの一種に「防護柵」というのが存在する
■設置される場所によって強度などが異なるほか、景観を意識した色が採用されることがある
ガードレールじゃない? 防護柵とは
クルマが車道から外れ、歩道などへ飛び出してしまうのを防ぐ設備に、金属の板でできたガードレールがある。ガードレールは、国土交通省が定める防護柵の一種だ。防護柵には、車両用と、歩行者や自転車用とがあり、さらにその両方を兼ねるものもある。
クルマのための防護柵は、車道から逸脱するのを防ぎ、乗員が負傷したり、クルマが損傷したりするのを最小限にとどめ、衝突後にクルマの進行方向へ復元するなど、その目的は多岐にわたる。
歩行者や自転車用は、転落防止やみだりに横断するのを防ぐ目的がある。ことに無用な横断を防ぐための場合は、金属製の防護柵以外に植樹などの方法で目的が達せられればそれでもよいとされている。
歩行者自転車用防護柵が設置されるのは、車道と歩道の境目での車道への転落防止、歩行者や自転車の横断禁止、都市内でクルマの速度が低く防護柵の設置で歩行者などの安全が見込まれる場所などだ。
柵の高さは、転落防止を目的とする場合は1.1メートル、横断を防止する場合は70~80センチメートルを標準とする。そして、容易にすり抜けられない構造で、かつボルトなどの突起によって日常的に危害が及ばない配慮が求められている。
強度は、混雑する場所や橋や高架などへの設置も考慮して、集団による荷重がかかることを想定することも求められる。
そのほか、交差点などクルマの交通のある場所では、運転者からの視認性の確保も求めている。高さのある歩行者自転車用の防護柵によって見通しがきかなくなるのを防ぐためだ。また、降雪地域などでは、積雪による重さにも耐える必要がある。
そのうえで、景観に配慮した色にすることも定められている。
クルマのガードレールというと、白の印象があるが、景勝地などでは自然な色合いに調和させたものもある。歩行者や自転車のための防護柵であればなおさら、都市部でも景観にあった色が使われることが望ましく、街の雰囲気が崩れるのを防ぐことができるだろう。
東京の銀座や日本橋は、歩道を広く確保できるのでガードレールが設置されておらず、洒落た印象を与える街の景観となっている。一方で、道路の狭い地域では、ガードレールもなく、路側帯が片側にのみ設定された場所もある。
ガードレールなどの防護柵は、安全上必要な策としながら、地域によって格差があるのが実態だ。より快適で安心できる道路環境がさらに前進することを期待する。