日本のバス運転士のプロ意識の高さが離職を後押ししている可能性
もうひとつの「怖い」は、バスの運転以外にやることが多すぎるということ。クルマだけではなく、自転車や歩行者なども多い複雑な交通環境となっている街なかでは、大きなバスを運転するだけでもかなりの重圧となる。それに加えて料金収受など、乗客にも対応しなければならず、とにかくやることが多くなっており「怖い」となってしまうようである。
そのような傾向もあるのか、東日本でとくに顕著なのだが、いままでの大型路線バスメインから中型路線バスへ運行車両を切り替える動きが目立ってきている。乗降客数の少ない路線も増えており、それも中型バスへの切り替えを目立たせているようである。
筆者はあえてプロドライバーを強調し尊敬を表すため「運転士」という表現を使っているが、世間では「運転手」として、自分より格下に見る人がじつに多い。そのような意識で接してくる乗客も多く、運転士への風当たりもことさらきつくなることが多い。
筆者が子どものころは怖くて声もかけられないような、「武闘派」とも表現できる運転士ばかりだったが、令和のいまでは世代交代で減少し、しかもそれはなかなか通用しない。
路線バスに乗ってここまで丁寧に運転士が接客してくれる国はまずお目にかかったことはないが(安心・安全に送り届けるのが最大のサービスであり業務だからという意識も大きいようだ)、それが裏目に出ることも多く、それが運転士の離職を後押ししてしまっているのかもしれない。