不幸の連続! お別れは突然に……
そんな蜜月が2年ほど続いたでしょうか。「アメ車は壊れる」といろんな人に脅されていたのに、奇跡的に(?)うちのマスタングはノントラブルで、オイル交換など基本的なメンテナンスを自分でやっていれば、問題なく走ってくれていたのですが……。
きっかけは車検でした。某ガソリンスタンドで扱っていた車検プログラムに申し込み、マスタングを1日預けました。するとなぜか、戻ってきたときにリヤフェンダーあたりにあったはずのアンテナがなくなっていたんです。最初は気がつかなくて、数日後にラジオを聴こうとしたら何度やってもザザザという雑音しか流れてこないので、「なんだろう?」と思って点検したところ、手動の伸縮式となっていたアンテナがごっそり抜けてしまっているのを発見。
もちろん、すぐさまガソリンスタンドに行って、どういうことなのか問い合わせたのですが、担当者がいないだの、確認するから少し待てだの、挙げ句の果てには最初から付いてなかったんじゃないか、などといわれ、まったく取り合ってくれなかったんですね。
で、そうこうしていたら今度は助手席側のパワーウインドウがヘンな動きをするようになるという事態が発生。開くことは開くのですが、ガコッガコッガガガみたいな動きなのです。左ハンドルだったので、マックのドライブスルーなんかは助手席(右側)の窓を開けて受け取るわけですね。これはちょっと恥ずかしかったなぁ。
そして……その日はやってきました。いつものように師匠を乗せて仕事に出かけ、箱根へ。天気もよく、颯爽とワインディングを駆け抜けてくれたマスタング。東京へと戻り、師匠を自宅まで送り届け、さぁガソリンでも入れてから帰宅しよう。そう思って自宅に近いガソリンスタンドに立ち寄ったのです。給油を終え、エンジンをかけてATのレバーをDに入れ……ようとしてもビクともしないではないですか。「えっ、どうして?」と焦った私はエンジンを一度切り、再始動させてもう一度レバーに手をかけたのですが、やっぱり動かず。
何度やってもレバーが動くことはなく、知り合いの修理工場に救援を頼んでレッカーしてもらいました。後日、原因を調べてもらったところ、残念ながらAT本体が壊れているようだとのこと。修理するには、同じATを取り寄せて載せ替えるしかなく、それには高額な修理代が必要とのことで、マスタングはこれを機に泣く泣く手放すことになってしまったのです。
こんなに急に、こんなにあっけなくお別れがやってくるなんて。私にとって初めてのアメ車の相棒となってくれたマスタングは、アメ車のおおらかさ、強さ、懐の深さといった魅力を存分に教えてくれた、いまでも大好きな1台です。
しばらくして、引き取ってくれたガレージから連絡があり、なんと台湾の人がMTに載せ替えてドリフト車にするんだといって買って行ったよというからビックリ。どこかで、かっこいいドリ車に生まれ変わったのかもしれないと思うと、それはそれでなんか「いいな」と思えたことが幸せでした。