タクシー業界が支配する日本版ライドシェア! 利用者のメリットよりも「業界を守る意識」が見え隠れするその中身とは (2/2ページ)

交通過疎地域こそ導入すべきなのに大都市からスタートする謎

 もうひとつ日本版ライドシェアで問題なのは、最初に書いた都市名でわかるように、もともとタクシーの多い地域から導入していること。これもまたタクシー業界の策略だろう。並行して乗務員を増やしていって、ライドシェアがいらない方向性に持っていくという思惑が透けて見える。

 でも本来は、日々の移動にも困っている地方から入れていくべきではないだろうか。複数の地方自治体からも同様の意見が出ていて、国は6月までに法整備などの議論をまとめたいとしているそうだが、石川県小松市のように、いち早く行動に移した地域もある。こちらは自治体ライドシェアと呼ばれている。

 じつは以前から、交通空白地自家用有償旅客運送という制度はあって、その名のとおりバスやタクシーのない地域では、一般ドライバーが自家用車を使って、運賃を取って人を運んでいいことになっている。小松市の事例は、このルールが昨年末に一部緩和したことを活用したものだ。

 一方僕も取材したことがある、京都府京丹後市の「ささえ合い交通」では、自動車保険に独自の項目を盛り込み、毎朝ドライバーのアルコールチェックや健康状態確認を実施。車両にはドライブレコーダーを設置している。タクシーに近い安全対策ができないわけではない。

 それでも危険という人は、使わなければいい。僕はモーターサイクルにも乗るけれど、危ないので乗らないという人もいる。それと同じだ。大事なのは移動の選択肢を少しでも多く用意すること。業界側がそれを制限するようなことはあってはならない。


森口将之 MORIGUCHI MASAYUKI

グッドデザイン賞審査委員

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2023ルノー・トゥインゴ/2002ルノー・アヴァンタイム
趣味
ネコ、モーターサイクル、ブリコラージュ、まちあるき
好きな有名人
ビートたけし

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