ハンドルがブルブルと震え出す! 誰にでも起こりうる恐怖の「シミー現象」とは

この記事をまとめると

■走行中にクルマのハンドルが激しく振動する「シミー現象」について解説

■シミー現象はタイヤの偏摩耗やタイヤ/ホイールのバランスの乱れによるものが多い

■シミー現象は大事故につながることもあるので異常を感じたら速度を落として点検に出すことが重要だ

タイヤやホイールに起因して起こる振動

 走行中に、クルマのハンドルが激しく振動する現象をシミーという。今日では経験した人は少ないかもしれないが、かつては、たまに遭遇することがあった。それも走行中、常にということではなく、ある速度に達したとき、ハンドルの振動が起こる。

 当然そのまま走っていたのでは危険であり、振動が収まる速度に抑え、点検する必要がある。

 クルマでシミー現象が起こる原因は、タイヤの偏摩耗や、タイヤ/ホイールのバランスが崩れていることによって起こる。そうした狂いが、フロントタイヤで生じているとハンドルが振動するシミー現象となり、後輪で生じている場合は車体全体が振動する。

 タイヤは繊維とゴムでできており、さらに加硫といって耐久性を高めるため熱を加えて製造されるので、真円を得るのが難しい。なおかつ前輪であれば据え切りを頻繁に行うと偏摩耗しやすく、タイヤの内側と外側で減り具合が異なり、バランスを崩す。あるいはホイールアライメントが縁石への接触などで狂っていると、偏摩耗し、それによってタイヤの回転にズレが生じて振動を起こすことも考えられる。

 ホイールも、アルミ合金の鋳造精度がよくない製品では、真円がとれていない可能性も考えられる。

 そうしたタイヤとホイールを組み合わせると、どこかでアンバランスが共振を起こし、大きく振動することになる。なので、タイヤをホイールに組み込んだときに、ホイールバランスをとるのが一般的だ。適正価格で売られている大手ブランドのタイヤやホイールは、製品の品質が高いので、ホイールバランスを取りやすい傾向にある。

 また、空気圧が規定より低すぎると、速度が高まるにしたがってタイヤ自体が変形し、振動を起こしやすくなる。それが度を超すと、バーストと呼ばれるタイヤ破損をしかねない。タイヤは、クルマと路面を結ぶ唯一の部品なので、タイヤが破裂したら大事故になりかねない。

 とはいえ、今日では製品の質が向上しているため、きちんとホイールバランスを取り、点検時期などにホイールバランスを適切に管理していれば、シミー現象と呼ばれるハンドルの振動を体験することは稀だろう。

 それでも、パワーステアリングが普及した現代は、タイヤやサスペンションに起因した不調をハンドルの手ごたえで感じ取りにくくなっている。ハンドルを切ればクルマは曲がるという、単なるスイッチ操作の意識ではなく、なんらかの異常の前兆をとらえるセンサーとしての役割がハンドルにはあることを、忘れずにいてほしい。


御堀直嗣 MIHORI NAOTSUGU

フリーランスライター

愛車
日産サクラ
趣味
乗馬、読書
好きな有名人
池波正太郎、山本周五郎、柳家小三治

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