日本車はプリウスのみの入賞だった
いま、我々が一番注目しているともいえるワールド・エレクトリック・カーを受賞したのは、ヒョンデ傘下のキアが昨年3月に発売したEV9。こちらはBMW i5、ボルボEX30というベスト3のなかから見事にベストカーの評価を勝ち取った。
キアにとっては初となるEV専用のプラットフォームを採用し、その端正なボディスタイルとともに新しさを強調。ホイールベースで3100mmという大柄なボディサイズは、SUVとしての機能性を大幅に高めてくれるはずだ。ちなみにキャビンは3列シート。6人乗りと7人乗りの両バージョンが用意され、セカンドシートとサードシートを折りたたむと、ラゲッジスペースは2318リットルにも拡大することができる。
EV9にはシングルモーター仕様とデュアルモーター仕様があるが、4WDとなる後者では最高出力は384馬力、最大航続距離は505kmを可能にするという。
東京のような街なかで、もっとも扱いやすいだけでなく、現代の最先端を行く技術を持つモデルはどれか。選考委員が投票した結果、BYDドルフィン、レクサスLBXといったライバルを3ベストのなかで抑え、見事にワールド・アーバン・カーを受賞したのが、ボルボEX30だった。
BEVとしての性能はもちろんのこと、わずか4250mmの全長で機能的なパッケージングを実現したことなど、コンパクトなハッチバック車としてライバルを大きく超える魅力を、審査員は高く評価したのだろう。
残る部門賞はワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー。
これはあらかじめデザインの有識者による審査を経て候補を選定。そのなかから審査委員が順位を投票するシステムで決定される賞だ。ベスト3に残ったのは、フェラーリ・プロサングエ、フォード・ブロンコ、トヨタ・プリウスの3車。結果はプリウスが選出され、今年のWCOTYでは唯一の日本車での部門賞受賞となった。
さて、最後はこれらの部門賞のなかから選出される、長い賞レースの勝者ともいえるWCOTYの結果を紹介して、このリポートを終えることにしよう。
ベスト3に残ったのは、BYDシール、Kia EV9、そしてボルボEX30の3車。そして、最終的にWCOTYの栄誉を手にしたのは、ボルボEX30をわずか5ポイント差で振り切ったKia EV9だ。
EV9は、ワールド・エレクトリック・カーとのダブル受賞であり、またワールド・パフォーマンス・カーを受賞したアイオニック5Nを含めれば、ヒョンデグループは2024年のワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを筆頭に3冠を達成したことになる。
はたしてこの韓国ブランド、そしてこちらも成長が著しい中国ブランドの勢いはこれからも続くのか。これもまた興味の尽きないところである。