この記事をまとめると
■2022年5月から二種免許の取得要件が緩和されて若い人でも職業ドライバーに就く人が増えた
■しかし若い人のほうが経験が浅いので事故する確率が高いとされている
■働き手が圧倒的に不足しているため今後は人材管理が主に重要になってくる
これまでタクシーやバス運転士は比較的年齢層の高い人の職業
2022年5月13日より、二種免許の取得要件が緩和された。緩和前は21歳以上で普通免許の保有が3年以上だったのだが、これが特別な講習を受講した場合に限り、満19歳以上で普通免許保有1年以上となった。
実際各地のバス事業者やタクシー事業者で19歳の運転士がデビューしたといった報道もあり、19歳に限らず若年層、そして女性など運転士の多様化がここのところ急速に旅客運送事業業界では目立ってきている。
いままでタクシー運転士といえば、「オジサン」が定番であった。とくにタクシー運転士は不景気になると「雇用の受け皿」として、年配層にとって数少ない正社員雇用してくれる職種となるので、リストラや経営していた会社の倒産や店舗の廃業などを経てタクシー運転士となるケースも目立っていたからである。
ただ、ある程度人生経験していないと接客接遇面でトラブルとなりやすいとうことや、タクシーの運転についても抑えめな運転が必要になるということで、「タクシー運転士は年配になってからの仕事」などともいわれているが、そこは個人差があり、年配運転士だからといっても客とのトラブルが頻発したり、事故を頻繁に起こす運転士もいるので、あくまで全体を見ての傾向といったところになるようだ。
タクシーの絡む交通事故はテレビニュースや新聞で取り上げられることがあるが、2024年になってから東京都内では若年運転士が運転するタクシーによる人身事故のニュースが相次いだ。1月には大通りの交差点の横断歩道を渡っていた女子高校生が25歳の運転士が運転する直進してきたタクシーにはねられるという事故が発生した。2月にはJR新宿駅前で新宿駅を目指し横断歩道を渡っていた歩行者がタクシーの下敷きとなり死亡するという事故が発生した。そしてこのタクシーを運転していたのは23歳の男性であった。
いずれも詳しい事故原因などは報道の段階では捜査中ということではっきりしていない。そして「若いから事故を起こす」ともいうつもりもない。ただ若さゆえに自分を過信してしまうという部分は否定できないものと考える。歳をとるとともに視野が狭くなったり、反応が鈍くなることもあり、スピードを控えたりするなど「穏やかな運転」になるのが一般的な傾向と見られている(もちろん相変わらず無茶をするひともいることは否定しない)。一方で若年ドライバーは視野も広く、反応もいいので知らず知らずに無理な運転をする傾向があり、しかも経験が少ないので事故発生リスクが高いとされている(もちろん慎重に安全運転を心がける若年ドライバーもいる)。