この記事をまとめると
■国産旧車が高騰を続けているが、なかでもMTリヤ駆動モデルはその傾向が顕著だ
■まだ手頃なプライスで狙えるリヤ駆動&MTというパワートレインのスポーツカーをピックアップ
■過走行気味な個体ならさらに割安に手に入れられるがメンテナンス費用は確保しておきたい
手頃プライスのMT後輪駆動車の一番手はZ33
「自動車業界100年に一度の変革期」といわれるようになって久しい。変革の中身については、CASEというキーワードで示されることも多いが、電動化や自動運転といったテクノロジーに拒絶反応を示すクルマ好きは少なくない。
そして、CASE革命へのアンチテーゼなのか、旧車への注目度は上がり続け、ニーズも高まっている。もはや1980年代のモデルが当時の新車価格を超えて取引されていることに驚くこともないだろう。
とくに日本車のビンテージイヤーと呼ばれた1989年前後に登場した国産スポーツカーは、「誰も手が届かないのでは」と思うほど価格が高騰している。そのなかでも、リヤ駆動、MT(マニュアルトランスミッション)といったファクターを備えているクルマほど価値が高まっている印象もある。
もはやリヤ駆動&MTというパワートレインのスポーツカーを、手ごろな価格で手に入れることはできないのだろうか。庶民は、スポーツドライビングをあきらめるしかないのだろうか。
否、まだまだ手ごろな価格帯で流通している中古スポーツカーは存在している。
その代表格といえるのが、日産フェアレディZだ。もちろん現行型は納期が見えないほどの人気であり、予算的にも600万円前後は必要だ。庶民派のフェアレディZとしておすすめしたいのは、Z33という型式で知られる5代目モデルである。
2002~2008年にかけて販売されたZ33は、3.5リッターV6エンジンをフロントに積み、リヤを駆動する2シータースポーツカー。エンジン出力は280~313馬力と十分で、6速MTの個体もそれなりに中古車市場に流通している。
しかも、過走行気味の個体であれば150万円から見つけることができるから、庶民にやさしいフェアレディとなっているのだ。
同じような時期に販売されていた2ロータースポーツカー、マツダRX-8も手の届きやすいリヤ駆動&MTを選ぶことのできる1台だ。
ご存じのように、マツダのアイデンティティともいえるロータリーエンジンを、観音開きの4ドアセダンボディのフロントミッドシップに搭載するというのがRX-8のおおまかなプロフィール。上級グレードでは9000rpmまでまわるようセッティングされた自然吸気のロータリーエンジンは、最高出力250馬力を発生した。
販売期間が2003年から2013年までと長かったこともあり、中古車としての流通量はそれなりに確保されている。
また、MT車を見つけやすいのもうれしいところだ。ただし、RX-8の前期型でMT車を探すとローパワー(210馬力)の5速MT版と、前述したハイパワー(250馬力)の6速MTがある点は注意が必要だ。
走行距離10万kmを超える個体であれば50万円以下の予算で見つけることもできるRX-8だが、当然それだけ走り込まれているとメンテナンスの予算も確保しておくことがマストといえる。
単純に車両価格だけでなく、維持費の余裕も考えて探したい。