ユーザーもいままでの認識を改める必要あり
諸外国ではすでにライドシェアの普及やタクシー配車アプリの普及で、道を知らない運転士が目立ってきている。ちなみに、タイの首都バンコクでは、ライドシェアサービスに多くのタクシーが参加している。また、インドネシアでは最大手タクシー会社が、日本より便利に使えるタクシー配車アプリを配信し、かなり普及している。
このような状況なので、たまたまアプリを使わずにタクシーに乗って目的地を告げても運転士が道を知らないということになり、「お前のスマホでグーグルマップで調べて俺(運転士)に見せてくれ」といわれたことがある。言葉が通じにくいということもあるが、結果的に筆者のスマホの案内に従って目的地に向かうことになった。
幸いにして都内でタクシー配車アプリを活用して乗車しても、運転士が目的地確認をしてくることがほとんどとなっている。登録したクレジットカード決済でキャッシュレス、しかも運転士に目的地を告げなくてもいいというのが配車アプリのウリなのだが、運転士に聞くと「乗客が入力するときは駅名やホテル名で入力するのだが、運転士の端末には住所しか表示されないので、念のため確認するようにしている」と聞いたことがある。
つまり、配車アプリを利用しても、目的地に正確に着くかどうかは、ホテルなど有名な目的地以外は微妙ということになるようだ。
タクシー配車アプリサービスに加盟している事業者では、運転士の稼ぎもかなりいいとの話が多いが、結果的には都内の地理に明るい運転士が、アプリサービスという新たなデバイスをさらに使いこなして稼ぎを増やしており、それはかなり限定的というのが実像と聞いたこともある。
ライドシェアや配車アプリが普及したとしても、都内などでは流し営業が全面廃止になるわけではない。そして地理試験が廃止になったいまでは、営業区域内の地理に明るくなるのは完全に自己責任となった。となると、配車アプリサービスでは乗車した運転士の評価コーナーもあるので、評価の高い運転士はより稼ぎも多くなり、いま以上に運転士内でも勤務する事業者や運転士間で稼ぎに大きな差がつくことになりそうだ。
そして、今後は「タクシー運転士=道を知り尽くしたプロの集まり」というイメージを利用者が変えていかなければならない。