この記事をまとめると
■2024年2月29日付けでタクシー運転手の「地理試験」が廃止された
■最近のタクシードライバーは道を知らない人も多く、試験の廃止にはマイナスな声も多い
■ユーザー側も今後は「タクシー運転士=道に詳しい」の認識を改める必要がある
タクシードライバーになるのに必要だった「地理試験」
東京都内のタクシーについては、「道をよく知らない運転士が目立つ」といった不満が長い間目立っている。世界的に見ても面積の大きい大都市が東京であり、いわゆる都心を走るタクシーの営業区域は東京23区と、武蔵野及び三鷹市と広大なものとなっているので、道を覚えきれないとの話もあるが、利用者としてはついつい「東京の地理を知り尽くしたエキスパート」というイメージをタクシー運転士にもってしまうので、期待が高まってしまうことも、前出のような不満になってしまうのかもしれない。
そんな状況に追い討ちをかけるかのように、2024年2月29日付けで東京都、大阪府、神奈川県においてタクシー運転士になるために必要だった「地理試験」が廃止されたとのこと。地理試験といっても、営業区域内のすべての道路を覚えるといったことはないので、地理試験をパスしたからといって道路をすべて網羅したというわけではないが、そうはいっても意外なほど難しい試験内容であるとも聞いている。
今回の地理試験廃止への動きは、業界の働き手不足解消として、タクシー運転士になりやすい環境作りという側面も大きかったようだ。
地理試験の廃止に関係なく、今後は地理に不案内な運転士が目立ってくることになるだろう。地理試験を廃止したことで、自分の営業区域の道に詳しくなるのには、いよいよ各運転士の自己努力となる。いままでも、乗務しないときでも都内で道を覚えるといった運転士もいて、道に詳しくなるか否かは個人に任される部分も大きかったといえる。しかし、ここへきて「タクシー配車アプリ」の普及により、さらに“道を知らない”運転士が増えそうだと筆者は考えている。
タクシー配車アプリサービスのなかには、アプリ対応専用車を用意している。この専用車の運転士ならば、アプリサービス専用カーナビに表示されるとおりに乗客を迎えに行き、乗客がアプリ入力した目的地までカーナビの指示に従って運転すればいいので、理論的には道を知らなくても乗務することは可能である。
また、一般タクシーでも都内はまだまだ稼働台数が十分ではないこともあり、流し営業のタクシーを拾うことなどは難しく、23区内、しかも都心部であっても配車アプリサービスを利用する人が増えてきている。