500馬力超のモンスターマシンがうようよ
一方、2位入賞を果たした炭山選手の三菱ミラージュも特殊なモデルといえる。ボディこそミラージュだが、エンジンおよびミッションはランエボ10のユニットで、「排気量は2300ccですが、最高出力は生データで500馬力、実質600馬力ぐらいはあると思います。車両重量は1160kgぐらいですね」と炭山選手。
そのほか、ラジエーターのリヤマウントやオリジナルの空力パーツも特徴的だが、気になるフィーリングに関しては、「タイヤの外径が小さいのに、パワーがあって車両重量も軽いから、ずっと雪の上を走っているような感覚です。トラクションをかけたいんですけど、アクセルを踏んじゃいけないシチュエーションもあるので難しいですね」とのことである。
そして、3位に食い込んだ鎌田選手のスバルBRZもユニークな一台と言える。シャーシは旧型だが、新型BRZの外装パーツを移植したほか、2500ccのEJ25型エンジンとWRX STIのギヤボックスをインストール。IHIのタービンを装着することで470馬力を実現するとともに、車両重量も徹底した軽量化で1100kg以下を達成したという。
鎌田選手によれば、「いままで乗ってきた競技車両でもっともパワーのあるマシンです。量産車ベースでありながら、車重も1200kg以下に収めているので、まったく動きが違います。クルマの慣性が少ないし、エンジンは最高出力だけでなくトルクもあるので、早めにシフトアップしながら、積極的に振りまわすように動かしています」とのことで、まさに究極のBRZだといえるだろう。
以上、上位3台を中心に紹介してきたが、このほかにも九州のベテラン、江川博選手がランエボのパワーユニットを組み込んだトヨタ・カローラを投入。こちらもエンジン排気量が2300cc、最大出力が500馬力、車両重量が1260kgという異次元のマシンで、「2020年に投入しましたが、今年はマフラーを横出しにしたり、ルーフをカーボンにしたりと、毎年アップデートしています」と江川選手が語るように、自由に改良できることもD車両の魅力だといえるだろう。
そのほか、広島のベテラン、河内渉選手がランエボのパワーユニットを組み込んだマツダ2を投入するなど、車種バリエーションも多彩。まさに全日本ダートトライアル選手権のDクラスは、モータースポーツカテゴリーのなかでも、かなりディープなワンダーランドになっている。