バスの電動化に合わせて運営もデジタル化……って日本より進んでる!? 新興国の侮れない公共交通機関の進化っぷり (2/2ページ)

バス電動化でオペレーションも変えて利便性を高める新興国

 そして2024年にジャカルタ市内を訪れると、運行本数の少ない日曜日ということもあったのか、やってくるバスはいずれもBEVばかりであった。BYD以外で目新しかったのは、いずれも中国系となるが、ゴールデンドラゴン(SAG)ブランドと、SKYWELLブランドのBEVバスである。調べてみるとこの2ブランドのBEVバスは、ここ最近新たに導入された車両のようであった。

 バス愛好家を自称する筆者は、さっそく日本大使館近くのバス停でBEVバスがくるのを待った。しばらくしてやってきたのは、SAGブランドのBEVバスであった。乗り込むと座席に空きがある程度でそれほど車内は混んでいなかった。最後部に近い座席に座るとバスは発車した。

 以前ジャカルタで乗車したBYD製のBEVバスに比べると、車内に入るノイズが少なくなっており、車内はかなり静かなものとなっていた。トランスジャカルタの車両電動化はこれからのようだが、トランスジャカルタの車両に比べれば、メトロトランスのBEVは、当たり前なのだが静粛性が極めて高かった。

 いまのところジャカルタ市内ではメトロトランスにBEV路線バスを積極的に投入している様子。報道によると、台数を増やすだけではなく運行路線も増やしているとのことであった。ただ「予算的な都合もあり、思うようにBEVバスを増やすことができていない」といった話も聞いている。

 単なる車両電動化だけではなく、eマネー決済のみなどキャッシュレス決済も同時に進めている。タイの首都バンコクではBEVバスの導入に伴い、バス停に運行状況を知らせるディスプレイを設置するなど、「バスロケーションシステム」の普及も進んでいる。インドの首都デリーでもBEV路線バスは普及しているのだが、料金決済はQRコード決済のみとなっていた。

 海外では、単に車両を電動化するだけではなく、バスのオペレーションまでを変えようとしているように見える。それに比べると、日本でもBEVバスの導入はそれなりに進んでいるが、まだまだ試験導入段階のようにも見えるのは、それに伴って利便性を高めようという動きが見えないからなのかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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