カワイイのかブサいのか? 「欧州レトロバン」の愛嬌にやられる人続出! (2/2ページ)

いまだ新車で買えるブサカワなロシア製バンは日本にもマニア多し

シュコダ1203

 チェコスロバキアのシュコダは、いまでこそ民族系自動車メーカーとして成功を収めていますが、その昔は安手の商用車か、これまた安手の軍用車両くらいしかラインアップしていなかった印象かと。とはいえ、1950年代に始まった商用バンの歴史は長く、また工夫を凝らした技術の大成だったといっても過言ではありません。

 それまで同社の商用車はトラックのシャシー、すなわち古臭いラダーフレームを使いまわしていました。が、積載量の拡大やスペース効率の向上を狙い、キャブオーバーの「ワンボックスコンセプト」を掲げると、1968年に1203を発売。1221ccのOHV4気筒エンジンは、先代トラックの1202から派生したもので、コクピットの計器類とテールランプは、当時の人気車だった 1000 MBのものを流用するなど、賢い作りこみがなされていたようです。

 また、49馬力のエンジンで最高速はおよそ90km/hに達し、実用上もなんら問題のないパフォーマンスだったとか。

 キャブオーバーとはいえウエストラインから下がフレアしたデザインは独特なもので、現代の路上でも立派に通用するスタイルではないでしょうか。

メルセデス・ベンツ MB100(W631)

 メルセデス・ベンツのバンといえばVクラスを思い浮かべがちですが、同社にはもっと商用車チックなモデル、100シリーズをラインアップしています。ただし、開発はメルセデス・ベンツ・エスパーニャS.A.で、スペイン北部のビトリア・ガステイス工場で製造したモデル。1981~1996年の間にボディのバリエーションを増やしつつ、また2世代にわたって小改良を加えながらヨーロッパ全土を駆け抜けたとされています。

 特徴としてはボクシーなスタイルながらも、初代のデザインはイタリアのカロッツェリア「フィッソーレ」が担ったというのもポイントかと。台形をモチーフとしたフロントセクションや窓の形など、よく見ればそれなりに雰囲気も感じられるかもしれません。

 なお、1996年以降は中国の双龍自動車会社によってライセンス生産され、双龍イスタナへと生まれ変わっています。もっとも、この時点ではありふれたワンボックススタイルとなり、スリーポインテッドスターが貼り付けられたもののパチモノ感がなきにしもあらず、といったところ(笑)。

UAZ-452(2206型)

 共産圏に生まれたクルマは性能こそアレですが、エモさ加減でいったらダントツでしょう。1965年にウリヤノフスク自動車工場(UAZ)からリリースされたUAZ-452は、ご覧のとおり無骨な軍用車チックなもの。ですが、どこか生き物っぽい表情をみせるフロントマスクや、食パン一斤そっくりなプロポーションなど、ちょい古バンに求められる魅力が満載です。実際、ロシアではブハンカ(ロシア語で食パンの意味)という愛称で親しまれていたとのこと。

 それでも、2206は2.4リッターのエンジンをフロントに搭載し、フルタイム4WDとそこそこ動いてくれるサスペンションで起伏の多い悪路も難なく走破するという見かけによらないヘビーデューティぶり。6~11人乗りまでアレンジできる室内や、最高速度が100km/hほどあったためマイクロバス的な使い方が多かったようですが、北極圏向け救急車に仕立てられたものもあった(UAZ-452A)といいますから、信頼性にも優れていたのでしょう。

 驚くことに2206はいまだに新車で購入できるのです。灯火類が国際基準にアップグレードされているくらいで、ファニーな雰囲気は昔と同じ(笑)。日本でも少なくないマニアの方々が手に入れているようです。

 なお、価格は現地価格で400万~500万円となかなかにリーズナブル。可愛いだけでなく、実用レベルも高そうなので、もしかしたらいい買い物かもしれません!


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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