この記事をまとめると
■昔のクルマはいまよりも個性的で、なかでもバンは愛嬌にあふれたものが多かった
■まるで生き物のような表情がファニーなひと昔前の欧州製バンをピックアップ
■ロシア製のUAZ-452は日本でもマニアが多く、現在も新車で購入することができる
愛嬌のあるフェイスに心を射抜かれる人が続出
「昔のクルマはいまよりも個性的な顔をしていた」そうお嘆きの貴兄も少なくないのかと。なんとなれば、現代のクルマに個性はあれどもどこかクールで、あたかも「意識の高さ」をカタチにしたようなニュアンスが少なくありません。そこへいくと、ちょっと古い欧州車、とりわけフロントセクションが平坦になりやすいバンは愛嬌にあふれ、まるで生き物のような表情を浮かべているではありませんか。そんなファニーで、魅力的なバンをピックアップしてみました。
フィアット238
日本でハイエースやキャラバンが生まれたころには、フィアットもまた商用バンをリリースしていました。スペース効率に優れるFFレイアウトを傘下のアウトビアンキで先駆けて開発し、1960年代に入るとワンボックスの238、ピックアップトラックの241をリリース。効率一辺倒なバンというわりに、どこか愛らしいスタイリングは、やっぱりイタリア人のなせる業かもしれません。不必要なほど大きなインテークグリルや、絶妙なおとぼけ顔をみせる丸形ヘッドライトなど、どれをとってもエモいもの。
それでも、搭載エンジンは124にも積まれた1.2リッターの4気筒エンジンですから、走りだってそこそこの性能をみせたはず。
イタリア本国では数々のミニチュアカーが発売されていますから、人々の心にも深く刷り込まれた人気車に違いありません。
ルノー・エスタフェ
フランスのバンといえばシトロエンのHトラック一択と思われがちですが、じつはライバルのルノーだって魅力的なモデルを生産していました。フランス政府によって打ち出された省エネ産業ルール、いわゆるプラン・ポンスに沿った形で作られたエスタフェは、1959~1980年まで生産され、Hトラックに劣らぬ人気を博したのでした。
当時らしく、ボディは木製のフレームに金属パネルをボルト留めという作りですが、これはプレスで製造されたパネルが比較的高価だったことと、プラン・ポンスの重量制限(1000kg以内)に対するソリューション。
また、重量だけでなく製造にかかる時間も短縮されるなど(プラン・ポンスに従わずにHトラックを作ったシトロエンに比べ)ルノーはかなり頑張った模様。
当初、845cc(2CVと同系統)のエンジンをフロントに積んだFFとしてスタートし、最終的には1.3リッターまで拡大。半透明のプラスチック屋根を持つハイルーフバージョンなど、4つのボディタイプがラインアップされました。