バァンじゃなくてボフッ! ドアの開閉からホーンまで高級車が心血を注ぐ「音」の世界 (2/2ページ)

電動化によって変わりつつある「音」の高級感

クラクションは渦巻き型が主流

 そしてクラクションにも違いがある。クラクションはオーソドックスに採用されているものとして、平型と渦巻き型がある。平型は内部にあるボールとシャフトが触れ合った音をレゾネーターで増幅していて、スペースがさほど必要なく安価なのがメリットだ。

 対する渦巻き型はホルンみたいな形をしている。管楽器と同じように共鳴部分があって、これにより奥行きを感じるクラクション音となる。高級車はこの渦巻き型を採用していることが多い。たとえばレクサスブランド車は全車この渦巻き型を採用している。

高級車のような「良い音」の価値観の転換期?

 しかし、先に上げたオートクロージャーのように「音が小さい」というのが、これからの高級車に対する音の価値観となるかもしれない。とくに電動化が騒がれている現在は、クルマが発する音に対する評価や考え方は転換期に来ているともいえる。

 たとえばBMWのBEVモデルであるiシリーズ。ハイエンドモデルのi7を中心に徹底的に音に関する研究と開発を行っている。BEVの場合、エンジンサウンドがないため、ロードノイズや風切り音が余計に目立ってしまう。それがストレスと感じる場合もあるだろう。だからBEVは、車内で快適に過ごせるサウンドチューニングが重要になってくるという訳だ。

 BMWは空力や防音材、振動対策などでストレスと感じる音を防ぐ方向性はもちろんだが、サウンド環境の開発にも力を入れた。世界的作曲家であるハンス・ジマーと共同で「BMW Iconic Sounds Electric(アイコニックサウンズ エレクトリック)」というシステムを開発。イグニッションスタート時やドアオープン時、走行中などあらゆるシチュエーションで疑似的かつ最適なサウンドが作動音のように響く。

 音というのは絶対的な数値に現れない感覚によって評価が委ねられる性能であるが、高級車として必要な性能であることは間違いない。


西川昇吾 NISHIKAWA SHOGO

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