高速道路利用料金はまだ見直す余地がある
同じルートでもクルマによって料金が異なる理由
高速道路では、全く同じルートを通っても、「二輪・軽」、「普通車」、「中型車」、「大型車」、「特大車」で利用料金が異なります。
高速道路料金が5つに区分されているのは、次のような理由があるためです。
1.原因者負担の考え方
車両の大きさや重量、沿道への影響などの違いが、高速道路の建設費・管理費などの費用に与える影響を分析し、その影響の度合いに応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。
2.占有者負担の考え方
車両の長さや安全のために必要とする前後のスペースなど、車両が高速道路を空間的・時間的に占有する度合いに応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。
3.受益者負担の考え方
高速道路を走行することによって得られる便益(ほかの道路を利用する場合と比べたときに得られる時間や走行経費の節約分)に応じて、高速道路にかかる費用を各車種が分担し合う考え方。
このような考え方に基づき、車種区分がされているとNEXCOでは公表しています。
また、二輪車と軽自動車が同一料金になるのは、車両の大きさ・重量・乗車可能人員などの違いがあるものの、どちらも走行するときに1車線を必要とし、法定の最高速度が100km/hであることや1〜3の考え方などが同程度であるため、同じ区分に分類されているとのことです。
車両重量が軽くても重くても料金が変わらないのはなぜ?
高速道路の利用料金は、クルマの大きさや重量なども考慮されて設定されているとわかったところで疑問に思うのは、「同じ区分のクルマでも道路にかかる負荷が異なるのに同じ利用料金になるのはなぜ?」ということです。
具体的な例は次のような場合です。
・重量が軽い普通車と重量が重い普通車(EVを含む)の料金が同じ
そのほかにも次のような事例があります。
・中型免許で運転できるクルマでも大型車の料金になる
など。
このようになるのはなぜなのでしょうか。
NEXCO西日本によると、「高速道路の車種区分については、恣意的になることを避けるため、運行の用に供される自動車に関して規定している道路運送車両法等の法令において、用途・規格等を基準として定められている自動車の種別をもとに設定しており、道路交通法に定める運転免許の自動車区分とは異なります。よって、たとえば、中型自動車免許で運転することができる、車両総重量8t以上11t未満、最大積載量が5t以上6.5t未満の車両については「大型車」の料金区分となります」とのことです。
つまり、車両の重量によって料金の区分が異なるということです。
この考え方であれば、車種によって重量が異なる普通車も、重量に応じた料金設定されていても不思議ではありません。
しかし、現在の料金設定では、普通車の車両重量に応じた料金設定がされていないため、重量が軽い普通車と重量が重い普通車(EVを含む)の料金が同じになっているのです。
今後、料金設定の変更等によって、重量に応じた通行料金になるかどうかはわかりません。
ただ、ひとつの考え方として、同じクルマでも道路への負荷が小さいクルマが優遇されるという措置があってもよいのではないかと筆者は考えています。