この記事をまとめると
■走行中に大型トラックやダンプから汚れた水が自車にかかった場合、違反かどうか考察
■道路交通法の第75条には「積載物を落下させたり飛散させてはならない」と記載がある
■何かを落とすことは違反となるが、事故や破損がない限り訴えるのは難しいのが実情だ
「汚い水でクルマが汚れた!」は訴えられる?
高速道路などを走っていると、前のトラックやダンプから汚水が流れ出て、こちらのクルマにかかってしまうことがある。非常に迷惑なだけに、腹立たしいことこの上なしだ。「法律違反なのではないか?」とも思ったりもするだろう。で、結果からいうと……違反だ。
道路交通法の第75条には、「自動車の運転者は高速自動車国道などを運転する時は積載物を転落させたり、著しく飛散させないようにしなければならない」とある。汚い水が少しならいいが、大量だと著しく飛散にあたるので、ダメだろう。
ただし、実際に取り締まれるかというと、よほど運良くパトカーが並走していたとかでないと無理。そうでなければドライブレコーダーの画像を元にして、立証する必要が出てくるなど、非現実的だ。運良く取り締まられたり、裁判をしたとしても、飛散させたほうがすべて悪くなるとは限らない。よく高速道路のSAやPAの表示板で「落下物は落としたほうの責任です」というのを見かけるが、これは落としたこと自体が悪いのと、通行止めなどの損害が発生したときの話。後続車としての被害の場合、後続車側の過失が認められてしまうことがある。
それはほかの事故でも問題になることがある。たとえば前方不注意が認められる場合で、避けられるような車間距離だったり、速度だと過失割合は100対0ではなく、60対40ぐらいになることもある。もちろん突然、大量の材木や鉄筋が落ちてきたら避けることはできないだろうから、そうなれば過失はすべて落としたほうになるだろう。いずれにしてもケースバイケースで、「なにがなんでも落としたほうが悪い」とはならないということだけは頭に入れておくといいだろう。
そもそもだが、汚水程度で損害になるかというとこちらも微妙で、知り合いの弁護士に聞いたところ、汚水で塗装にシミができて取れないのであれば損害となるが、洗えば落とせたり、そもそも付いたけど走行風で飛んでいってしまった程度ではなにも問えないとのことだった。