カーナビの元祖を作ったホンダは偉い! 「紙芝居ナビ」とも形容されたその中身とは (2/2ページ)

紙芝居ナビと呼ばれたシステムは当時30万円!

 具体的な操作方法は、電源を入れ、地図を選んで差し込み、縮尺を合わせ、明るさを調整し、現在位置を合わせ、進行方向を合わせる……という、かなり面倒な手順が必要だった。走っている場所が最初に入れたセルロイドシート地図外に出れば、地図を”手動”で差し替えなければならなかったのである。「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」が当時、「紙芝居ナビ」と呼ばれた所以はそこにある。なお、オプション価格は工賃込で29万9000円だった。

 いま思えば、当時はハイテクでも、かなりアナログなナビゲーションシステムといっていい。とはいえ、「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」=地図型自動車用ナビゲーションシステムがナビゲーションシステムを世界中に普及させ、ナビゲーションシステムの世界基準を築いた功績は間違いないところで、1981年に世界初の地図型自動車用ナビゲーションシステムとして商品化した「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」が、「IEEE(アイトリプルイー)マイルストーン」に認定され、2017年3月にHonda青山本社ビルで記念式典が行われ、IEEE会長のカレン・バートルソン氏より銘板が贈呈されている。

 IEEEマイルストーンといってもあまり馴染みがないと思うので、改めて説明すると、IEEEそのものは1963年にアメリカで発足した米国電気電子学会、米国電気電子技術者協会。IEEEマイルストーンはIEEEが電気・電子・情報技術やその関連分野の歴史的偉業に対して行う顕彰活動のひとつで、認定要件として25年以上に渡って世の中で高く評価を受けてきたという実績が必要だという。

 日本における受賞は、シャープのテレビ用14インチTFT液晶ディスプレー、東海道新幹線、日本ビクターの家庭用ビデオVHS、東芝の日本語ワードプロセッサー、最近ではデンソーのQRコードなどがある。

 もちろん、「ホンダ・エレクトロ・ジャイロケータ」を世界初の地図型自動車用ナビゲーションシステムとして開発、発売したホンダは、その後、ナビゲーションシステムを進化させ続けてきた。1990年、ホンダ・レジェンドに、当時最新のエレクトロニクス技術を融合させたコンパクトディスクを用いた「デジタルマップナビゲーションシステム」を商品化。

 さらに1997年には、現在の自動車用ナビゲーションシステムに近い「ホンダ・ナビゲーションシステム」を登場させ、2002年には音声認識対応カーナビゲーションシステムをホンダ・アコード、アコードワゴンに搭載している。翌2003年にはデータ容量がそれまでの2倍となるHDDナビゲーションシステムを発売。ホンダ車の走行状況を取り入れたフローティングカー情報システムを駆使した、これまた世界初の新双方向情報ネットワークサービスを実用化したのである。

 ある意味、現在、我々がカーナビゲーションシステムを便利に使いこなせているのは、ホンダのおかげ!? といえなくもない。


青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

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