ユーティリティ面での進化が著しい新型スイフト
3)ラゲッジルームは奥行が拡大
ラゲッジルームに関しても、先代同様……との説明を受けたのだが、実際には、荷物の積載性に大きくかかわる奥行だけ拡大していた。先代は筆者の実測でフロア奥行610mm、スクエアなフロア幅1005mm、最低高715mmだったのだが、奥行きのみ660mmとなっていて、荷物の積載性は間違いなく向上していたのだ。
もっとも、後席を倒したときに約150mmの段差ができるところは先代と変わらず、だが……。
4)最大の進化ポイントと言えるのが電動パーキングブレーキの搭載
スズキのクルマはこれまで、いまや軽自動車にも採用されている電動パーキングブレーキが未装備だった。それが昨年にデビューしたスペーシアからついに採用され、ユーザーはもちろん、開発陣の長年の夢がかなったのだ(筆者は以前からスズキの開発陣、社長に直訴していた)。
現時点では最上級グレードのMZのみとはいえ、合わせてこれまた念願のオートブレーキホールド機能までセットで備わったのだから、ある意味、新型最大のセールスポイントとなりうる。当然、電動パーキングブレーキとも連動するACC(アダプティブクルーズコントロール)の使い勝手もよくなる理屈だ。
5)コネクティッド機能の充実も新型らしさ
新型スイフトには、先進運転支援機能のブラインドスポットモニターを含む最新のスズキ セーフティ サポートのほとんどを全グレードに標準装備したほか、SOSコール、スズキコネクトといったコネクティッド機能を採用。一気に現代的装備を搭載したことになる。そうした一方、CDスロットが大々的に残されていて、スイフトの古くからのユーザーに対する配慮にもぬかりなしである。
6)3気筒エンジンへの換装による燃費性能の向上
先代からの買い換えポイントの最後が燃費性能の向上だ。先代はK12C型4気筒1.2リッターエンジンを搭載し、スペックはマイルドハイブリッドモデルの場合、エンジンが91馬力、12.0kg-m、モーターは3.1馬力、5.1kg-m、燃費性能は最高23.0km/Lだった。それが新型では新設計のZ12E型3気筒1.2リッターエンジンとし、スペックはエンジンが82馬力、11.0kg-m、モーター3.1馬力、6.1kg-m、燃費性能最高24.5km/Lとなっている(燃費の数値はWLTCモード)。
確かにエンジン単体のパワー、トルクはやや後退しているが、モーターのトルクアップに注目で、実際の走行で3気筒を感じさせるシーンは少なく、なおかつ意外なほどの低速トルクを発揮してくれるから、先代ユーザーが乗り換えても、動力性能、走りやすさの不満はまずないといっていい。
スズキの面目躍如といっていい車体の軽量化技術とともに燃費性能が向上し、その上で、スイフトらしい走りのよさをさらにブラッシュアップしているところもまた、新型に乗り換える大きな意味をもつポイントといえるだろう。
と、多くの面で進化著しい新型スイフトの標準車だが、先代スイフトのマイルドハイブリッドモデルのユーザーで、「その4気筒エンジンが好き」というのであれば、現在乗っている先代モデル(4気筒)と新型(3気筒)のエンジンフィール、走りを、試乗してしっかりと比較してから決断したほうがいいかもしれない。