石油会社がなぜスポンサーに?
レースを戦う上で欠かせないのが、あらゆる面でチームをサポートしてくれるスポンサーの存在だ。それは、たとえ自動車メーカーが主体となり、資金が潤沢なチームだったとしてもそれは同じ。そんなフォーミュラEに参戦する日産には、フォーミュラEというカテゴリーを考えると、1つ変わったスポンサーがついている。おわかりだろうか?
それが、日本でも石油ブランドとしてお馴染みの「シェル」だ。ノーズの真ん中やサイドに見覚えのあるロゴがどデカく書かれている。
「いや待て待て。EVに石油燃料かよ!?」となるのも無理はない。しかし、EVには一切ケミカル類が使われていないのかといえば、答えはNoだ。シェルでは、「Shell EV-Plus」という電動パワートレイン専用フルードを開発し、実際に市場に投入している。これは、EVの駆動システムに必要な絶縁や、モーターの冷却、ギヤの保護に使われているとのこと。
なので、フォーミュラEのパワートレインも同様の理由でフルードが欠かせない。しかしここは世界最高峰のEVレース。エネルギー効率の優劣が勝敗に直結する。なので同社では、フォーミュラEの最新車両であるGen3マシンにも対応した「Shell EV-Plus サーマルフルード」を日産のフォーミュラEチームと共同で開発している。
このフルードは従来の製品と比べて粘度が39%ほど低いとのことで、ミッションで発生する抵抗を極力抑える仕組みとなっているほか、電気関係のパーツのパフォーマンスを最大限に引き出すために最適な絶縁を行なう性能も持ち、バッテリー性能を向上させる効果も持つそうだ。
ちなみに、ミッションを持たないフォーミュラEマシンだが、ギヤは装備しているので、そこにはシェル特注の「Eトランスミッションフルード」を導入。天然エステルベースオイルという再生可能な原料から作られたケミカルとなっており、約70%は生分解性の成分から作られているという、非常にエコなモノとなっているそう。
このように、日産はバッテリーやパワーユニットだけでなく、同じ志を持った企業と一緒になってフォーミュラEを戦い、日々市販車に技術をフィードバックしているのだ。
最後に、今回の東京での特別なレースに対する、ドライバーへの期待を担当エンジニアに聞いたところ、「22号車を担当するオリバー ローランドは今年調子が良く、実際にブラジルのサンパウロで行われた第4戦で3位表彰台を獲得しているからね。この流れで明日の勝利を期待したいし、勝てるはずだ」と分析。
「23号車を担当するサッシャ・フェネストラズはエース番号の23を背負う期待のドライバーだ。馴染みのある日本でのレースだし、是非勝ってほしいね」と激励。
また、今シーズン日産が戦うマシンは、日本のイメージにぴったりな桜をイメージしたボディとなっているのも特徴なので、ぜひそのあたりにも注目してほしい。
さて、いよいよスタート目前に迫った、日本にとって歴史に残るであろう公道で行われる決勝レース。どのチームとドライバーが東京を制するのか目が離せない!