4灯リトラクタブルライト採用等で斬新なデザインだった
しかし、その影に隠れた1981年デビューの3代目の2ドアハードトップ(限定)を振り返ってみると、「意外にカッコよかったじゃん」となる。
そのエクステリアデザインは、これまた歴史的名車の1台である、10年後の1991年デビュー、イタルデザインのG.ジウジアーロがエクステリアデザインを手がけた、いま誰が見てもカッコいい! と思えるであろうスバル・アルシオーネSVXにも似た(先駆けた!?)かなり攻めたスタイリッシュさを持ち(2ドアハードトップ、センターピラーは2本)、なおかつSVXが市販版で諦めることになった4灯リトラクタブルヘッドライトさえ備えていたのである(1984年のMCで固定式に改められたが)。
空力的にも優れており、当時、2ドア車として世界トップクラスのCd値0.32を実現していたという。パワーユニットは2リッターのレシプロ、2.2リッターのディーゼル、そして12Aロータリーエンジンの3種類を用意。とくにロータリーエンジンは1980年代の国産車のパワーウォーズの火付け役でもあったのだ。
ボディサイズは全長4640×全幅1690×全高1340mm、ホイールベース2615mmであった。
3代目コスモの魅力はそうしたエクステリアのスタイリッシュさやロータリーエンジンによるハイパワーだけではない。デジタルスピードメーター、メーターフード左右のサテライトスイッチの採用、最新の三菱電機製カーオーディオの搭載、さらにラグジュアリーを極めた室内には、前席シートバックの中折れシートを装備。
デザイン的ラグジュアリーだけでなく、機能的快適度のラグジュアリーにもしっかりと手が入っていたのだから、なかなかやるじゃないかである。
マツダ・コスモの中古車を探すと、4代目はわずかながら数台を見つけることができるものの、さすがに43年も前にデビューした3代目は見当たらなかった……。
なお、初代コスモスポーツは、広島のマツダミュージアムで実車を見ることができる。その意味では、3代目コスモはいまとなっては幻のコスモといえるかも知れない。