この記事をまとめると
■ジャカルタ市内の中古車販売店エリアを訪問
■日本車の中古車価格は高値で推移しており特に「トヨタ・キジャン イノーバ」が人気だった
■長い年月をかけて築き上げた日本車の信頼度はそう簡単には崩されない
インドネシアでの日本車は再販価値が高い
インドネシアの首都ジャカルタ市内にある、複数の中古車販売店が集中して中古車を展示している場所を訪れる機会があった。ショッピングモールのような大きな建物のなかには、中古車販売店のほかにカー用品店、シートの縫製などの作業を行うショップなどほぼすべてのフロアで自動車関連の業者が店を構えており、フードコートまで用意されていた。
中古車販売フロアについては、イメージとしてショッピングモールの建物内にある駐車場のような場所に、蛍光灯など明るい照明を設置し、冷房が効いているなか中古車が展示されていると思ってもらえばいいだろう。
地元事情通に案内してもらいながら見てまわったのだが、日本のように決められたフォーマットに基づき、販売価格や年式、走行距離などが書かれた“スペックボード”が掲示されることはなく、多くの店舗では価格については店舗スタッフに聞きながら条件交渉(値引きなど)を行うようになっていた。
インドネシアではローンでクルマを購入するのが当たり前なので、価格ではなく月々の支払額など返済プランだけ表示されたボードを掲示する店舗もあった。数少ない価格表示をしている店舗を中心に販売価格を見ていると、まず日本と比べると全般的にも再販価値が高いことに驚かされた。「インドネシアでは、低年式となってもしぶとく再販価値が残ります。そのため新車購入時にも再販価値というものを重視して購入検討することになります」(事情通)。
日本車が壊れにくく、品質がいいのは世界共通認識といってもいい状況となっている。その日本車は当然再販価値も高めに維持されていくので、いまでもインドネシア国内の新車販売シェアでは日本車が90%以上を維持しているということになるのかもしれない。
その日本車のなかでの中古車販売価格をみると、とくに再販価値が高めだと感じたのは、トヨタ・イノーバといえよう。トヨタの新興国向けモデルで伝説的なMPV(多目的車)である「キジャン」の後継車種として2004年に「キジャン・イノーバ」が2016年までラインアップされていたのだが、このキジャン・イノーバの最終型近い年式でも(つまり8年落ち)であっても、100万円近い販売価格のものがザラにあり、再販価値が高めに維持されていた。
その後2015年には2代目「キジャン・イノーバ」がデビュー。そして3代目となる「キジャン・イノーバ・ゼニクス」が現行モデルとなっている。ゼニクスについては2022年のデビュー直後の中古車では新車価格とそん色のない価格になっているものもあり、キジャン系の再販価値はまさに“鉄板”といっていいほど高めに推移していた。官公庁や企業での運転手付きの社用車ニーズも高いステイタスモデルともいっていいのがキジャン系なのでそれが影響しているようだ。
韓国や中国メーカー車については、「同年式同クラスの日本車に比べれば値落ちスピードは速いが、驚くようなレベルではない」(事情通)とのことであった。