日本車の強みは「品質の高さ」からくる「落ちない再販価値」! インドネシアで感じた中韓メーカーにはそう簡単に崩されない盤石の信頼 (2/2ページ)

日本車が長年かけて築き上げた信頼は強い

 タイで話を聞いた時も新車購入時に再販価値を意識する傾向が高いと聞いたことがある。短期間で乗り換えるケースが多いことも影響しているとのことであった。日本でも残価設定ローンの利用が目立ってきてからは、短いサイクルで乗り換える人も増えてきており、再販価値を意識した新車購入というものが目立ってきている。

 つまり、韓国や中国メーカーが日本車の苦手とするBEV(バッテリー電気自動車)を旗印にICE(内燃機関)車もラインアップして、インドネシアはじめ東南アジアで攻勢を仕掛けてきても、単に「目新しい」とか、「BEVがあるから」というだけでは日本車の牙城を崩すことは難しく、「日本車より再販価値が高い」とならないと本格的に日本車に対抗することは厳しいといってもいいだろう。そのためには、やはり信頼を得るためにも一定の時間が必要ということになるだろう。

 だからといって日本メーカーが安心していられるかといえばそうでもない。ICE車からスタートしているのだが、中国・上海汽車系のMGブランドはタイに市場進出してから2024年で10年を迎える。その間でブランドステイタスを上げてきており、現状では一部モデルとも話を聞いているが、同クラス日本車とほぼ同等に再販価値を維持するようになり、消費者も進出間際のような「中国車アレルギー」を示す人は少数派となっているとも聞いている。そのような環境下でコロナ禍以降、MG以外の中華系ブランドが相次いでBEVをメインに市場参入してきており、バンコク市内で頻繁に見かけるようになっている。

 BYDはタイでもインドネシアでも、保証内容の充実などを強くアピールしており、安易な中華系BEV同士での値引き競争による乱売を避け、ブランドステイタスの定着を進めているように見えるのも、再販価値を意識した動きにも見える。

 筆者は「いますぐ日本車が追い詰められることはないだろう」とよくいっている。それは中国系だけではなく韓国系ブランドが今後日本車とそん色のない再販価値を維持するようになる時が訪れる時までの“猶予期間”と表現することができるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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