この記事をまとめると
■トヨタは災害があった際に通れる道を紹介するサービスを展開している
■2006年に「防災科学研究所」と「ホンダ」が行なっていたプロジェクトがきっかけだ
■メーカーとしてはマップの精度向上を図り、PHEV車両提供による電気供給などを考えている
「通れた道マップ」とは
今年は年明け早々に痛ましい出来事がありました。マグニチュード7.6の地震が石川県の能登半島を中心とした地域を襲いました。輪島市などで最大震度7の揺れがあり、命を落とした方、怪我をされた方、家屋や店舗を失った方も多く、数カ月が経ったいまでもまだ避難生活を余儀なくされている方も多いようです。被災者の方々に、心よりお見舞い申し上げます。
また、東北や関東に住む人には直接の被害は少なかったようですが、13年前の大災害を思い出して恐怖に駆られたという人も少なくなかったことでしょう。
こうした地震や、それに起因する津波、2次3次災害で被災された方々に対して、一刻も早く通常の生活に復帰できるよう、支援の人材や物資を届かせることが急務だと思います。しかし、ニュースの映像を見て驚かれた人も少なくないと思いますが、地震の猛威は、物資を届けるための生命線といえる高速道路や幹線道路にダメージを及ぼしていて、支援に向かう車両の行く手を阻んでしまっていました。
そんな状況に対して、いまやクルマのみならず、それを取り巻く社会への貢献を掲げた活動もおこなっている「トヨタ」が動きました。
「通れた道マップ」というサービスをご存じでしょうか? 被災者を少しでも多く支援するために、通行不可な道や、交通規制、混雑具合などを細かく表示し、通行可能な道を教えてくれる地図サービスです。
※まだ支援は継続中です。アクセスが集中すると支援活動に支障が出る恐れがありますので、閲覧は最小限にお控えください。
■「通れた道マップ」はどんなことができる?
この「通れた道マップ」は元々、「防災科学研究所」と「ホンダ」が2006年に共同で研究をおこなったプロジェクトが起源のようです。ホンダの「インターナビ」サービスから得た情報を元に、実効度が検証されたとのこと。
その翌年の2007年に起こった「新潟中越沖地震」でも役立てるべく、一般に実験公開をおこないました。
トヨタが「通れた道マップ」のサービスを立ち上げたのは2011年の3月17日です。あの「東日本大震災」から5日後には、いまに通ずるサービスの基本構成を作り上げ、復興の支援のための社会貢献のいち方策として展開しました。
その後、トヨタは独自の情報収集統合技術を盛り込んで進化させていき、2016年の「熊本地震」の際にサービスを一般公開で提供。いまでは災害時に道路の状況を表示するマップサービスの代名詞となった感があります。
その最新版が、今回の「能登半島地震」で提供された「通れた道マップ」というわけです。
機能は至ってシンプルにまとめられています。水色で示された道は「通れた道」。赤い色の部分は「渋滞している区間」で、黄色で示された部分は「混雑している区間」です。そして黒い色の部分が「交通規制などで通行できない区間」です。降雪地域の通行状況では重要な要素となる「チェーン規制がおこなわれている区間」も表示します。
また、協力企業(パスコ、国際航業など)からのデータ提供があった区域については、状況がひと目でわかる航空写真の表示もおこなっています。
これらの情報は、トヨタが提供している「T-Connect」というテレマティクスサービスを根幹に、「コネクティッド・カー(サービスを利用している車両)」の走行データを24時間集約し、必要な要素を抽出してマップに反映させているそうです。
そして、通常はカーナビ機能へリアルタイムに交通情報を提供するための「T-プローブ交通情報」、さらに「道路交通情報通信システム」の「VICS」の情報を組み合わせ、交通規制や渋滞区間の表示も可能にしています。