この記事をまとめると
■レーシングドライバーの木下隆之さんがホンダ・アコードに試乗した
■アコードはe:HEVであるが積極的にエンジンを使用するセッティングがなされていた
■2040年までは精一杯、内燃機関を楽しもうじゃないかというホンダの意志を感じた
新型アコードはEV時代までの繋ぎなんかじゃない
誤解を恐れずにいうなれば、新型アコードにはそれほどの期待を持てずにいた。
理由はふたつある。2040年にハイブリッドからの決別を宣言したホンダが、EVではないアコードにリソースを注ぐとは思えなかったこと。SUVが国民の足になりつつる日本で、4ドアセダンの可能性が広がると思えないこと。
実際に新型アコードの日本投入はe:HEVのみとなる。ささやかな意匠変更でお茶を濁すに違いないと、気乗りしないまま試乗会場に向かった。
ただし、待ち受けていたアコードは、バイアスのかかった目を覚まさせるように、印象的な施策の数々で僕を刺激したのだ。
搭載するパワーユニットは、直列4気筒2リッターと電気モーターを組み合わせている。e:HEVである。印象的なのは、ハイブリッドであるのにエンジン支配率を高めたことだ。
クルージングからの加速では、迷うことなくエンジンが始動する。これまでのように電気モーターに頼りすぎない。加速遅れが少ない。
高速巡航時にはエンジンと駆動輪を直結させるのがホンダe:HEVの武器のひとつだったが、その領域を格段に広げている。軽はずみにモータークルーズすることなく、安定してエンジンを始動させ続けている。
アクセルペダルを強く踏み込むような加速では、多段化ミッションのように擬似的なステップを踏む。速度の上昇に比例して、階段を登るようにして回転計の針が跳ね上がる。そのシステムを伝えずに走らせれば、2ペダルMTと勘違いするかもしれない躍動感だ。