「インテグラ」も登場は二輪車のサブネームが先だった
ストリームの後継モデルではないが、似た流れを汲む3列シート車「ジェイド」の名も、それ以前に二輪車のほうで使われていた車名である。
二輪車のほうのジェイドは、1991年に発売された250ccのネイキッド・ロードスポーツで、エンジンは4ストのレーサーレプリカ「CBR250RR」と同型のMC14E。
この二輪のジェイドが1996年に販売終了となったあと、2015年に登場したのが3列シート四輪車のジェイドだ。
ちなみにジェイド(JADE)とは英語で「翡翠」を意味し、四輪車のほうは「高貴な美しさと不変の価値を持つ新時代のスタンダードカーを創造するという思いを込めて命名」したとのこと。しかし、四輪車のジェイドは決して悪いクルマではないものの「高貴な美しさと不変の価値を持つ」というのとはちょっと違うように感じるため、自社の廃番二輪車ネーム集のなかから語感と字面だけでなんとなく選んだ可能性もある。まぁ筆者の勝手な推測だが。
これらとは逆に、廃番となった四輪車の車名が二輪車で復活した例もある。たとえば四輪車の「インテグラ」はもはや説明不要の、タイプRという素晴らしい派生モデルも生み出した名作で、1985年から2007年まで販売された。
しかし、海外での販売は続いたものの、国内でのインテグラの販売が2007年までのDC5型で終わると、2012年には二輪車の「ホンダ・インテグラ」が発売された。こちらは「ニューミッドコンセプト」として開発された大型スクーターで、トランスミッションにはVFR1200Fに搭載したバイク用DCT第2世代が採用されている。
「インテグラ」というのは「統合」を意味する英語Integrateから来ている言葉であるため、乗り物の名前としては使い勝手がいいのだろう。
そもそもホンダのインテグラにしても1985年登場の四輪車「クイントインテグラ」がお初だったわけではなく、さらに古くから「CB750Fインテグラ」「CBX400Fインテグラ」など、二輪車のサブネームとして広く使われていたものだ。
これだけ二輪/四輪の双方で使える車名のストックが多いホンダだけに、「過去に二輪車で使われていたあの車名が、そのうち四輪車の車名として復活するのでは?」という期待も抱かせてくれる。
まぁ「VFR800F」などの英数系車名は、四輪車の車名として再利用するには無理がある。しかしたとえば、「フェイズ」は2009年に発売された250ccスクーターの車名だが、ホンダの次期型Bセグコンパクトの車名としてマッチするような気がする。
また、2000年に発売された250ccスクーターの車名「フォルツァ」は、スポーツe:HEVを搭載するCセグかDセグの次期型スポーティ系モデルに合うのではないだろうか。そんなモデルをホンダの四輪部門が今後作るのかどうか、筆者は知らないが。
なお、これはホンダの社内でカブっているわけではないが、ダイハツ・ムーヴとほぼ同じ名前を持つ「ホンダ・ムーブ」という110ccのスクーターもありましたな。こちらはムーヴではなく「ムーブ」で、横文字のつづりもMOVEではなく「MOOVE」でしたが。