この記事をまとめると
■インドネシアではタクシー車両としてトヨタ・トランスムーバーが高いシェアを誇っている
■トランスムーバーのベースであるアバンザがフルモデルチェンジしたのにあわせて、トランスムーバーも新型に切り替わった
■インドネシアのタクシーは新型トランスムーバーとなってグレードアップした印象を受ける
インドネシアのタクシーはトヨタ・トランスムーバーが定番
筆者が自動車ショーの取材のためにインドネシアを訪れるようになって10年ほどが経った。訪れ始めたころのタクシー車両は、トヨタの新興国向けコンパクトセダンとなる「ヴィオス」ベースの「リモ」というモデルがほとんどであった。ちなみにインドネシアでは、タクシー車両と同じ車名のクルマはマイカーとしては敬遠される傾向にあるとのこと。
ホンダは新興国向けMPV(多目的車)となる「モビリオ」を、そのままの車名でタクシー車両として供給しているが、これが一般消費者の「モビリオ離れ」を加速させたと地元事情通から聞いたことがある。そのようなこともあるのか、トヨタはタクシー車両の車名を変えているのである。
インドネシアでは、セダンボディは一部課税額が高くなるといったこともあり、もともとハッチバック車と多人数乗車可能なMPV(多目的車)の人気が高かった。しかし、ライドシェアが進むとMPVの人気が高まり、実際にライドシェアを呼ぶとMPVが来ることが多くなった。セダンに比べて多人数乗車が可能で積載性能に優れるMPVがライドシェアで来るとなると、タクシーよりライドシェアが選ばれることも多くなってきたという。
このような経緯があってか、2016年にトヨタの新興国向けコンパクトMPVとなる「アバンザ」ベースのタクシー向け車両となる「トランスムーバー」がデビューした。ベースのアバンザはFR(後輪駆動)でフレームボディであったため、実際乗ってみると意外なほど「トラックムード」が伝わってきたのだが、筆者のように海外から大きな荷物を持ってタクシーに乗るときなどはとても重宝した。
そして、時の流れとともにジャカルタ市内では、最大手のブルーバードタクシーを中心に、ほぼトランスムーバーがタクシーとして活躍するようになった。
そんななか、2021年にアバンザがフルモデルチェンジを実施した。新型はモノコックボディとなりFF(前輪駆動)に駆動方式を変更。さらにアバンザはダイハツとの共同開発で、プラットフォームが「DNGA-B」となった。こうなると自称「タクシーマニア」の筆者は、この新型アバンザがベースとなる次世代トランスムーバーがいつデビューするのかが気になっていた。
リモのベースとなるヴィオスは2022年にフルモデルチェンジしているのだが、「すでにトランスムーバーがここまで普及しているのをみると、新型ヴィオスベースでのリモは設定されないだろう」(前出事情通)とのことであった。