コスパが求められる軽自動車は乗用車よりも装備面で不利
3つめは、これも物理的な理由になりますが、ボディが小さいということは搭載できる燃料タンクの大きさも限られてくるので、タンク容量が小さく、1回のガソリン満タンで走行できる距離の長さも、多くの乗用車より短くなってしまいます。たとえばN-BOXのタンク容量はFFモデルで27リットル。WLTCモードの燃費がNAモデルで21.6km/Lなので、単純計算で走行距離は最大でも583.2kmです。
乗用車ではタンク容量が50リットル以上のモデルも多いので、同じ燃費なら1回の満タンで1080km走行できる計算。ロングドライブが多い人はちょっと物足りないと感じたり、ガソリンスタンドが少ない地域では給油回数が多いと面倒に感じることもあるのではないでしょうか。
4つめは、走行中のノイズがうるさいと感じるシーンがあること。軽自動車のエンジンは排気量が660ccまでと決まっています。なかには4気筒エンジンを搭載するモデルもありますが、多くは3気筒エンジンで、アイドリング時や加速時に音や振動が大きくなる傾向があります。
もっと価格が高く設定できたり、ボディサイズに余裕のあるモデルであれば、防振材や防音材、工業用接着剤などを多用して音や振動を室内に侵入させないような対策が取れますが、軽自動車はコストが限られており、なかなか十分な対策が取れないモデルもあるのです。
近年の軽自動車はそうした静粛性も飛躍的に進化していますが、同時に登録車も進化しているので、相対的にどうしても「うるさい」と感じることが多いのではないでしょうか。人間が不快に感じる音というのは、ずっと聞いていると知らないうちに疲労感につながったり、体調不良の原因となってしまうこともあるので、室内の静かさを重視する人には「乗らない理由」になり得ると思います。
5つめは、パワートレインの選択肢が少ないこと。日本ではガソリンの自然吸気とターボ、ハイブリッド、マイルドハイブリッド、PHEV、BEV、クリーンディーゼル、FCV、LPガスとさまざまなパワートレインのクルマが選べる時代になりましたが、軽自動車ではガソリン、マイルドハイブリッド、BEVのみ。
日本では、いまやガソリンモデルの販売比率をハイブリッド車が上まわっている状況で、その多くはトヨタやホンダが展開する2モーターハイブリッドや日産のe-POWERです。それらを搭載する軽自動車はないということで、選択肢から外す人もいるのではないでしょうか。
6つめは、先進の安全運転支援技術のレベルや内容。軽自動車にも、全車速追従機能付きACCが搭載されたり、ステアリング支援や半自動で車庫入れをサポートする技術などが続々と搭載されたりしていますが、まだハンズオフ機能やドライバーモニタリング、会話型コネクテッド機能などは搭載されていない状況です。そうした技術を手に入れたいと思うと、登録車から選ぶほかはないということになると思います。
ということで、現時点であえて探した、軽自動車に乗らない理由。ですが何年後かには、それもクリアされているかもしれないですね。今後の軽自動車の進化に注目です。