細部のまとまりのなさがクルマ全体を中途半端な印象にする
3台目はスズキ・ワゴンRだ。6代目となる現行型は標準タイプに加え、「スタイリッシュワゴン」と「ストロングワゴン」という3つの顔を揃えて2017年に登場。
エクステリアの特徴は「機能性とデザイン性の両立」で、たとえば前席のパーソナルスペースと後席の実用スペースを分けたグラフィック表現や、前後ホイールアーチを結ぶプレスラインでは、ボディを下部の台座と上部のキャビン部にわけているのだ。
ただ、造形的にはそれぞれが少々説明的に過ぎる点が気になる。
コンセプトは必要だが、デザインはそれをしっかり「消化」「昇華」しなくてはいけない。ルーフにちょっと届かないBピラーなど、全体が中途半端に見える。
そのあたり、まもなく登場とされる新型に期待したいところである。
最後はダイハツ・コペンだ。「DRESS-FORMATION」という独自の発想により外板パネルの着せ替えを実現、ローブとクロスのふたつの個性で2014年に登場した。
「自分らしさを表現できるクルマ」というコンセプト自体に違和感はないが、強いキャラクターラインが側面を走るスタイリングには特段の魅力は感じないし、初代が持っていた普遍的な佇まいも消えてしまった。
日本車では先代を否定するモデルチェンジが散見されるが、コペンでいえば、なぜ初代が長く愛されたのかをしっかり考えるべきだった。
いまになって初代をオマージュしたコンセプトカーが発表されていたが、少々もったいない話である。
さて、今回あらためて各社のラインアップを見ると、大きく破綻したスタイリングは本当に少なくなってきたが、「これはグッドデザイン!」と絶賛できるクルマもまだまだ一部だ。
その点、今後はマーケティングに流されない一球入魂のデザインを期待したい。