この記事をまとめると
■最近の日本車のデザインはすっかり垢抜けてきた
■それでもなかにはコンセプトを「消化」「昇華」していない中途半端なデザインのモデルも散見される
■デザインが破綻した日本車はほとんどないが「これはグッドデザイン!」と絶賛できるクルマもまだまだ一部だ
垢抜けたデザインとなった日本車で気になること
かつては、グッドデザインといえば輸入車の特権だったが、最近は日本車のスタイリングもすっかり垢抜けてきた。ただ、それでも「残念」なデザインはまだそこかしこに見られる。
今回は、そんなイマイチなデザインの現行国産車4台をピックアップしてみた。
まず最初に取り上げるのは、ホンダZR-Vだ。ヴェゼルとCR-Vの間を埋めるCセグメントのSUVとして、昨年4月に発売されたばかりのピッカピカなニューカマーである。
「異彩解放」の商品コンセプトのもと提示されたデザインテーマは「グラマラス&エレガント」。
球体をモチーフとした凝縮感溢れるボディは、従来とは異なる「新しいモノ」を模索した結果で、艶やかなカタマリにシャープなエッジがスパイスを効かせている。
しかし、そのグラマラスなシルエットは少々重く、例の歯をむいたグリルを持つフロントフェイスにはどうにも馴染めない。
HR-Vの名称で販売される北米や中国市場で「埋もれない」個性やインパクトは必要だし、「新しさ」も提案したい。その折衷が混乱を招いてしまったのかもしれない。
2台目はトヨタ・アクアだ。ヒットした初代に続き、新たにバイポーラ型ニッケル水素電池などの最新技術を引っ提げ、2021年に登場した2代目となる。デザインテーマは「Harmo-tech=知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進」で、スマートかつエモーショナルなスタイルを目指したそうだ。
ただ、このエモーショナルが問題で、2代目のキリッとしたボディは溶けたチーズの塊ような緩さが目立ち、とくにフロントやリヤのヌメッとした面が気になるのだ。
さらに、リヤに向けて駆け上がるサイド面の動きや、フェンダーの大きな張り出しなども過度なエモーショナル表現で、これは「個性の発揮」にこだわった一世代前のトヨタデザインの象徴といえるもの。
これは同クラスのヤリスにも通じるモノがある。