クルマは高額なだけに買ってから後悔……はシャレにならん! プロが教える「迷ったときの」クルマ選びのコツ

この記事をまとめると

■実用車の多くは各メーカーにそれぞれライバル車種が存在する

■購入に際してある程度グレードや車種を絞ったら家族などを交えて試乗するのが鉄則だ

■余裕があればレンタカーで1日借りて乗ってみるのも有効だ

新車購入に迷ったらどうするのが正解!?

 愛車を実用重視で選ぶ場合、ライバル同士で迷うことも多い。とくに実用的な車種は、販売規模も大きく、各メーカーともに同じユーザー層に向けて似通った商品を提供する。そうなれば選ぶときに迷いも生じる。

 この典型が全高を1700mm以上に設定したスライドドアを装着する軽自動車だ。スーパーハイトワゴンと呼ばれ、ホンダN-BOX、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシア、日産ルークス、三菱デリカミニなどが該当する。

 また、3列シートミニバンのトヨタ・ノア&ヴォクシー、日産セレナ、ホンダ・ステップワゴンなども、外観が似通ったライバル同士の関係にある。

 これらを選ぶときにもっとも大切なことは「外観やボディサイズが似ているし、どのクルマでも同じ」という諦めた見方をしないことだ。外観やサイズが似ていても、それぞれの車種には違った特徴がある。

 たとえば軽自動車のスーパーハイトワゴンなら、N-BOXはステアリングの操舵感や乗り心地が優れている。タントは左側のピラー(柱)をドアに内蔵させたから、左側ドアを前後ともに開くと開口幅が1490mmとワイドに広がる。スペーシアは収納設備が豊富で、ノーマルエンジンのWLTCモード燃費は2WDが23.9〜25.1km/Lと優秀だ。ルークスは衝突被害軽減ブレーキが2台先を走る車両も検知して、デリカミニは4WDの悪路走破力が高い。

 そして、内装のデザインや質感、シートの座り心地、乗り心地、運転感覚などは、車種に応じてそれぞれ異なる。ステアリングホイールの重さ(操舵感)なども、ユーザーによる好みがあり、実際に運転しないとわからないことも多い。

 したがって、欲しいクルマのカテゴリーやタイプが決まったら、購入の候補をグレードまで含めて3車種程度に絞り込む。その上で実際に試乗して、買うべき車種を決めたい。ファミリーカーとして使うなら、試乗も家族全員で行う。夫婦で運転する場合、夫と妻では、運転感覚の好みも異なるからだ。互いに運転を交代しながら試乗する。これが基本だ。

 子どもを後席に座らせるなら、チャイルドシートなども装着して、実際の使い方を再現する。乗り心地や周囲の見え方などは、子どもの意見も聞きたい。自転車など、特定の大きな荷物を積むユーザーは、実際に積んで確かめたい。

 このように、実際の使い方を再現した試乗をするには、時間も相応に要する。同じ車種のレンタカーを借りると良い。いまは新車の販売店でレンタカーを借りられる場合もあり、現行型が用意されている。レンタカーの料金は発生するが、間違いのないクルマ選びが行える。

 そして、家族で試乗すれば皆の意見を反映させたクルマを買えるだろう。楽しい思い出ができて、慎重に選んだ愛車だから、長く大切に使える。それがユーザー、自然環境、そして愛車にとっても、幸せなカーライフだと思う。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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