この記事をまとめると
■東南アジアでは三菱エクスパンダーが大ヒットしている
■エクスパンダーのOEMモデルとなる日産リヴィナは全然ヒットしておらず珍しい存在だ
■インドネシアでは、三菱の市場占有率が10%なのに対し、日産は0.1%となっている
何気ない日常に激レアモデル現る!
モーターショーの取材も終えて帰国を控えるなか、インドネシアの首都ジャカルタ市内を散歩していると、興味深いシーンに遭遇した。ある街角で黒いMPV(多目的車)が並んで路上駐車していたのだ。
正面から見て向かって右が三菱の東南アジアでのヒットモデル「エクスパンダー」(した写真では左)で、左は日産の「リヴィナ」となる。日産リヴィナは三菱エクスパンダーをベースにしたOEM(相手先ブランド供給)車となる。つまり、兄弟車が街なかで仲良く並んで駐車していたのである。
インドネシアでは、2020年現地販売会社となる日産自動車ディストリビューター・インドネシアの株式75%をインドネシアの自動車大手「インドモービル・スクセス・インターナショナル」が取得した。そして同年、日産は新興国向けブランド「ダットサン」ほか、日産ブランド車の現地車両生産から撤退することを発表している。
このようなこともあり、2024年2月に開催されたIIMS(インドネシア国際モーターショー)会場内においても、会場内に日産自動車ブースはなく、同じくインドモービルが完成車を輸入して販売している、シトロエンや韓国・起亜自動車の車両とともに、インドモービルブース内に、インドネシア以外で生産された日産ブランド車が展示されていた。
日産リヴィナは、2007年に新興国向けの日産オリジナルモデルとして初代がデビューしている。その後2019年に現行モデルとなり、三菱エクスパンダーのOEM車としての2代目がデビュー。
新興国向けということで、日本国内にはなかなか肌感覚で伝わってこないのだが、エクスパンダーは東南アジア諸国でまさにバカ売れと表現できるほど大ヒットしており、いまでは派生モデルとなる腰高なクロスオーバーSUV風スタイルを採用する、エクスパンダークロスをラインアップ。さらには2024年2月にタイにおいて、エクスパンダーのHEV(ハイブリッド車)もデビューしている。
OEMとはいうものの、エクスパンダーは三菱車のデザインアイコンであるダイナミックシールドを採用した顔つきであるのに対し、リヴィナは日産のデザインアイコンであるVモーションを採用した顔つきになっており、見た目の印象はかなり異なっている。
東南アジアでは、このエクスパンダーのほかにピックアップトラックのトライトン、トライトン派生ともいえるSUVのパジェロスポーツも人気モデルとなっている。さらには、デビューして間もないコンパクトクロスオーバーSUVとなるエクスフォースも好調だ。
インドネシア国内における2024年2月単月の新車販売台数でみると、三菱自動車全体の市場占有率が10%なのに対し、日産自動車は0.1%となっており、販売台数でみればブランド全体でも76台となっている。
街なかでは単体でも見かける機会の少ない2代目リヴィナが本家エクスパンダーと並んでいるシーンはかなりレアなシチュエーションとなるのである。